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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 俺もあんたと一緒に地方へ行きたい!
 雨の中で俺は男にそう言った。男は一瞬驚いた表情を顔の中に映し出した後、悲しそうに微笑んだ。そして俺の頭を優しく撫でてこう言ったのだ。
 完璧になったら迎えに来る。
 あんな悲しそうな笑顔で期待させるような言葉を聞いて信じられるわけがない。あの男はこの島国を捨てた。その行動は二度とこの島国に戻って来ないという意味だ。しかし俺は心のどこか隅っこで期待をしているんだ。だから一日も早く完璧にならなきゃいけない。
 あの男に迎えに来てもらえるように。
 ああ、思い出したくもない。なぜなら彼から少し離れた場所には――
「ああ、行かなきゃな……」
 窓に雨粒が叩きつけている。激しいから車で行こうと、俺は傍にあるチェストの上の小物入れから車のキーを掴むと外に向かって歩き始めた。


 昨日の今日なのに、私ははまった。料理というものに。
 食材を運んで来てくれた小さな丸型ロボットの頭を撫でてお礼を伝える。何とも可愛らしいそれはやはりロボット。私が優しく撫でても無反応で帰って行く。それでもいいのだ。『ヒト』であろうがロボットであろうが、配達に来てくれたのだから感謝の気持ちはしっかりと伝えなければならない。それは幼い頃から培われてきたものだ。既に身に沁みついてしまっている習慣だからどうしようもない。それにこの習慣が頻繁に出ることに何の支障もないし、損することではない。感謝の気持ちやお礼などの言葉は気持ちの問題だ。減るものでもないし増えるものでもない。だから損するわけでもないし得するわけでもなく、ただの自己満足の上に相手に気の悪い思いをさせない大切な習慣だと考える。
「何か、今日も成功?」
 私はお鍋の中を覗き込みながらにんまりと笑む。もう、何か楽しくて仕方がない。気になる相手に料理を作ることがこんなに心弾むものとは思ってもみなかった。
 今まで料理というものに興味すらなかった私が今、こうして電子レシピと睨めっこをしながら夢中になっている。とはいってもまだこれを始めて二日目だが。
 コトコトと音を鳴らすお鍋を見つめ続けていると、部屋の中でインターフォンの音が鳴り響く。すると、セキュリティが異常な反応を起こした。
「ケイカイ・ケイカイ・ホウモンシャハキケンブツヲショジ・ケイカイ・ケイカイ」
 危険物を携えているということは彼ではない。

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