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第4章 :jealousy-嫉妬-

　私は息を詰めながらインターフォンの親機を呼び出すと、テレビモニターから玄関の外を覗き見た。
　見知らぬ男性だ。しかしこちらを向いてにこやかに笑っている。そして外に設置してあるインターフォンの子機のカメラに向かって声を出した。
「俺はあんたの友人の相手のものだ。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな？　えっと、俺の所属は警察機関。今度の……」
　友人の相手と聞いた瞬間、私は玄関のロックを開錠するようにセキュリティに伝えていた。「カイジョウイタシマス」
　セキュリティが玄関のロック開錠を私に知らせる。するとカチリと音がして玄関が静かに開いた。
「こんちは！」
「こ、こんにちは……」
　どうしてこの男性は友人の所ではなくて私の所へ？　不思議過ぎて首を深く傾げてしまう私に男性は微苦笑を露わにさせた。傘もささないで来たのか。いや、それにしては濡れが激しくない。ということは車でマンションまで来て、降りた後に少しの時間、雨の粒を受けたのだろう。
「あの、ここに彼女は来ていませんけれど」
　私はこの男性が友人がここにいると勘違いをして来たのだと思って伝えてみると、男性は微苦笑を顔の中に湛えたまま唇を揺らした。
「いや、友人の所にはまだ会いに行っていないんだけど、今日からミスコンのリハーサルが始まるって言うからさ。ちょっと大学生になり切って見に行きたいんだけど相手がいないんだよな。だから悪いけど付き合ってくれない？」
「リハーサル？　あなたが大学生になり切って？」
　男性はさっきインターフォン口で何と言っていた？　確か警察機関所属だと言っていた。
「あ、あの……　何かあったんですか？」
　私の不安の問い掛けに男性の顔の中に今度は困惑したような色が醸し出された。
「んん……　まだ詳しくは言えないんだけど、まあ、ちょっと付き合って欲しいんだ」
　男性の懇願に今度は私が困り顔。なぜならもうすぐしたら恐らく彼が来るから。彼の仕事は忙しいみたいで、昨日はここで深い眠りに入っていたのだ。恐らくまた寝ずにここに来るだろうと思われて、私はソファの上にはブランケットを、そして目覚めた時にはお腹が空くだろうと思って、二度目の料理のチャレンジをしていたばかり。その料理はもう少し煮込まないといけないし、彼が来て私がいなかったらきっと心配する。
「あの、もう少し待っていただけませんか？」