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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 でも彼らはその方法を知らないから今、こういう状況になっている。
「彼女からの連絡で、あと一時間ほどはこのホールに閉じ込めらそうって。部外者が中に入るのも駄目らしいんですけれど、どうします? というか、このミスコンに何かあるんですか?」
 お願いだから答えてよ―― と願いながら問うと、男性は大きく鼻を鳴らしてホールの裏側に回った。やはり私の最後の問い掛けには答える気がないらしい。
「この場所の見取り図は全て頭の中に入っている。だから潜入するのは簡単だ」
 ようやく出た言葉がそれ? 私は少し頬を膨らませながら彼の方を見る。と、彼もまだ機嫌が直っていない上に雨に濡れるのがそんなにも嫌なのかと思われるほどに、コートのフードを目深に被っていた。
「あの、傘……」
 私は彼らの為にと思って、自分の分も数えて三本の傘を持って来ていた。しかし彼らがそれを使用するどころか受け取りもしてくれなかった。
「普通なら使わなくても、一応感謝の言葉くらいはあるでしょうに……」
 自分の目の前の二人はギスギスした空気を周りに纏って、何とも近寄り難い。しかし感情がまだ未熟でも、怒るというそれは多少なりとも持っているのだなと発見したところもあった。
「ここだ……」
 男性が裏側のドアを見つけ、そこの横に設置してある暗証ボタンを見つめた。
「確か、SUH1877だったな」
「そこまで調べているんですか?」
「大学の暗証番号は大体、大学名とその場所、そして頭文字と設立された年代がセットになっているんだよ」
 もう、本当にしつこいほど機嫌が直っていない。男性がぶっきら棒な言葉を放ちながら私を睨む。こういう時はあまりしつこく関わらない方がいいことを知っているから、私は何も反論せずに、はあ、そうですか…… とだけ返事をしてドアが開くのを待った。
 暗証番号はやはり男性が言っていた通りのものであったらしく、ボタンを一通り押すとそこの場所が静かな動きで開いて私たちを受け入れてくれた。
 男性を先頭に彼、私と続いてホールの中へと向かって歩いて行く。すると、かなりの大音響でリハーサルが行われている様子が遠くからも窺えた。
 客席の隅の方に隠れながら舞台の方を見つめる私たち。アップライトされたその場所からは、数十人の『ヒト』であろう女性たちが本番用のドレスを見に纏いながら、最終審査の予行練習をしているようだった。

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