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その匂い買います
第1章 その匂い買います
恵美は立ち上がり、スカートの中に両手を突っ込んで、ストッキングを下ろし始めた。 中塚は正座をして、その光景を凝視している。
とてつもないくらい重たい空気が、2人のあいだをすり抜けていく。
隣の部屋からはパソコンのキーボードをうつ音が、テンポよく聞こえてくる。それは精密機械のように正確なテンポだった。
中塚のメガネ越しの瞳はギラついていた。
それに気づいた恵美は、少し浮かない顔をしていた。
「よかったわ。ホテルに行かなくて…… 」
恵美は思わず呟いた。
恵美の細いカモシカのような生足が、中塚の目の前に現れた。
中塚は恵美の生の足の裏を、舐めるように見ていた。そうそれは、獲物を狙うハイエナのように……。
密室の中の2人は卑俗この上ない姿であった。
中塚は恵美の両足首を掴んで、顔の高さまで持ち上げる。少し外反母趾気味だが、脱ぎたての足の裏からは、生温かい空気のようなものが、中塚の顔面を襲った。そして、ゆっくりと顔を近づけて行く。そして、中塚はついに巡り合った。
「これだ、この匂いだ! 」
ついに巡り合った。中塚の思考回路をめちゃくちゃにする匂いに。
中塚は瞳を瞑ると、顔面に柔らかく、生温かい感触が宿った。吸盤のようにこびり付く、恵美の足の裏は汗に濡れて湿っていた。
中塚はしばし、それを愉しんだ。
欲しいものはいつも、妄想の彼方にあった。
だがしかし、中塚が追い求めていた匂いと快楽が、今ここにある。あきらめなければ、それに辿りつける。やっとたどり着けたことに対して、中塚は心の底から匂いを愉しんでいた。
その獰猛な匂いは、三半規管を麻痺させ、身体全体に痺れが走り、脳細胞をロックオンするその匂いが中塚の欲望を包み込み、支配し、憧れをそそり、理性と欲望の狭間で、道徳と背徳が交差し始めていた。そして、快楽へと導き、やがて解放へと向かわせる。
中塚はよだれを垂らし、白目をむいた。意識が朦朧としていた。
中塚の異変に気付いた恵美は、
「ねぇ、どうしたの? 大丈夫」
何度も肩をたたいて尋ねた。
中塚の目白目をむいていた。金魚のように口を上下に動かすだけで、まったく声が出なかった。
とてつもないくらい重たい空気が、2人のあいだをすり抜けていく。
隣の部屋からはパソコンのキーボードをうつ音が、テンポよく聞こえてくる。それは精密機械のように正確なテンポだった。
中塚のメガネ越しの瞳はギラついていた。
それに気づいた恵美は、少し浮かない顔をしていた。
「よかったわ。ホテルに行かなくて…… 」
恵美は思わず呟いた。
恵美の細いカモシカのような生足が、中塚の目の前に現れた。
中塚は恵美の生の足の裏を、舐めるように見ていた。そうそれは、獲物を狙うハイエナのように……。
密室の中の2人は卑俗この上ない姿であった。
中塚は恵美の両足首を掴んで、顔の高さまで持ち上げる。少し外反母趾気味だが、脱ぎたての足の裏からは、生温かい空気のようなものが、中塚の顔面を襲った。そして、ゆっくりと顔を近づけて行く。そして、中塚はついに巡り合った。
「これだ、この匂いだ! 」
ついに巡り合った。中塚の思考回路をめちゃくちゃにする匂いに。
中塚は瞳を瞑ると、顔面に柔らかく、生温かい感触が宿った。吸盤のようにこびり付く、恵美の足の裏は汗に濡れて湿っていた。
中塚はしばし、それを愉しんだ。
欲しいものはいつも、妄想の彼方にあった。
だがしかし、中塚が追い求めていた匂いと快楽が、今ここにある。あきらめなければ、それに辿りつける。やっとたどり着けたことに対して、中塚は心の底から匂いを愉しんでいた。
その獰猛な匂いは、三半規管を麻痺させ、身体全体に痺れが走り、脳細胞をロックオンするその匂いが中塚の欲望を包み込み、支配し、憧れをそそり、理性と欲望の狭間で、道徳と背徳が交差し始めていた。そして、快楽へと導き、やがて解放へと向かわせる。
中塚はよだれを垂らし、白目をむいた。意識が朦朧としていた。
中塚の異変に気付いた恵美は、
「ねぇ、どうしたの? 大丈夫」
何度も肩をたたいて尋ねた。
中塚の目白目をむいていた。金魚のように口を上下に動かすだけで、まったく声が出なかった。