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もっと夢を見ていたい
第22章 Ⅵ
家に帰ると何も知らない姫様が
クンクンと私達をチェックする。
ご飯皿を見ると空っぽになっていた。
『ごめんね。ふ〜ちゃんお腹空いたね?』
私は彼女に謝りながらエサを入れた。
ガツガツと食べ始める彼女。
『急いで食べたら詰まっちゃうよ』
彼女の背中を撫でながら言い聞かせた。
背中に張り付く彼。
いつもなら邪魔なんだけど
そのままにしておいた。
目の当たりにした人の絶望に
足がすくわれそうになる。
湧いてくる漠然とした不安と恐怖…。
私と彼はお互いを求め合うことで
どうにか心を落ち着かせた。
不謹慎?冷たい?
一緒に泣いたって
彼女の体は元には戻らない。
代わってあげようなんて思わない。
だってそうでしょ?
私は…他人だもの