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第2章 ２

　由里絵の彼氏は「桐村晃彦」という。

　二十一歳で、同じ大学の経営学部の三年生だ。

　晃彦は、十九歳にして出来た由里絵の人生最初の「恋人」であり、また――今から半年ほど前に――由里絵が“処女”を捧げた相手でもある。
　
　が、二人の出会いは、大学に入学するとともに由里絵が参加した、学内のテニスサークルだった。

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　総勢三十名ほどで、男女の比率は半々、毎週水曜日と金曜日の二回、構内のテニスコートを借りて活動している。

　勝敗に拘るのではなく、どちらかと言うと「趣味」の範囲でテニスを楽しもうという趣旨のもとに結成されているサークルである。

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　時に、由里絵は、中学では美術部、高校では茶道部という、生粋の“文化会系”女子である。
　
　が、大学生になったのを機に、何か新しいことを始めてみたいという自身の意欲と、入学式の後に遭遇した熱心な勧誘に根負けして、参加を決めた。