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いつかの春に君と 〜 番外編 アンソロジー集〜
第2章 愛のバルカローレ
柔らかな和葉の唇を奪いながら、舌先で真珠のように白く整った歯列を割る。
滑らかな和葉の舌を探し当て強く絡めると、濃厚な口づけを交わす。
和葉の息が切なげに上がる。
「…んんっ…あ…は…ああ…ん…」
まだ湿り気を含んだ艶やかな髪を梳き上げながら、口づけの合間に愛を囁く。
「…和葉…好きだ…お前が好きだ…」
普段寡黙な青年が、堪えきれぬように告げるその様に和葉は目を潤ませる。
「…どうして急に?昨日まではそんな素振りも見せなかったのに…」
少し悔しげに呟く和葉に口づけを繰り返しながら、熱い息を吐く。
「口に出したら止まらなくなった。
…俺は今までひとを好きになったことはない。
お前が初めてで…最後だと思う。だから…大事にしたい。誰よりも…」

和葉はその白い指を伊織の唇に当てた。
「…もういい…」
「怒ったのか?…和葉…」
不安げに見つめる伊織の首筋に、腕を伸ばす。
「…そんな言葉、もったいないから簡単に言わないでくれ…」
伊織の逞しい腕が、和葉を抱きしめる。
「何回でも、何十回でも言ってやる。俺が好きなのはお前だけだ。
…お前の綺麗な貌も、綺麗な声も、優しい性格も、勝気なところも、少しわがままなところも全部好きだ」
「…本当に褒めてる?」
綺麗な眉を顰め、上目遣いで伊織を睨む。
「褒めてる。嫌いなところがなくて困るくらいだ。
…でも、心配なことがある」
やや貌を曇らせて切り出す伊織に、和葉は尋ねる。
「何?何が心配?」

伊織は覚悟を決めたように、和葉を見据えると口を開いた。
「俺は、男も女も経験がない。
…特に男とはどうしたら良いのか、全く分からない。
だから、お前を満足させる自信がない。
それで、お前が俺を嫌いになったらどうしようかと心配している」
たどたどしく実直に答える口調には、真摯な青年の真心があった。

和葉は胸が一杯になりながら、自分から愛おしげに口づけをした。
「…馬鹿だな。伊織は…。
そんなこと、関係ないんだよ。伊織が僕を思ってくれていたら、それだけで充分なんだよ…」

ゆっくりと上半身を起こすと、窓辺に置かれたランプの灯を絞り、しっとりと潤んだ琥珀色の瞳で囁いた。
「…しよう、伊織…」




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