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いつかの春に君と 〜 番外編 アンソロジー集〜
第2章 愛のバルカローレ
翌朝、伊織が目覚めると和葉のベッドは空だった。
慌てて跳ね起き、ベッドサイドの机に近づく。

白いメモが和葉の愛用のモンブランの万年筆と共に置かれている。
急いで取り上げ、目を走らせる。

…軽井沢の兄の屋敷に行って来ます。
消灯までには帰るよ。
…愛している、伊織…

思わずベッドに座り込む。

…なんだよ…。
愛しているって、俺から言うつもりだったのに…。

遣る瀬無いため息を深く吐いた。

…同時に昨夜の熱く激しく…しかし途方もなく甘い一夜を思い出した。


…丹念に馴らして挿入した和葉の中は、天国のように気持ちが良かった。
伊織をきつく締め付け、絡みついて離れないその淫肉は、伊織を虜にした。
一度目は正常位で繋がり、二度目は和葉を這わせ、柔らかく蕩けた肉にまだ些かの衰えも見せぬ性器を突き挿れた。
和葉の美しい肢体を背後から攻めていると、まるで非の打ち所がない貴公子を無体に犯しているような…倒錯的な錯覚に陥り、ぞくぞくするような湿った快楽を得た。

二度目の射精をその身に受け、美しい背中を反らすと、和葉はベッドに崩れ落ちた。
身体を小刻みに震わせ、和葉は息も絶え絶えに喘いでいた。
「…ああ…いい…っ…達…く…!」
和葉は、中で達することができるのだと、伊織は初めて知った。
その芯の通った薄くれない色をした若茎を扱いてやると、たらたらと薄い淫蜜が滴り落ちた。
「…ああ…だめ…やめ…て…」
…おかしくなる…と、潤んだ琥珀色の瞳で見上げられ、伊織はその花の唇を貪らずにはいられなかった。

「…もう一回しよう…和葉…お前が欲しくて止まらない…」
「…も…むり…できな…い…」
泣きながら抗う和葉を組み敷き、己れが放った牡液でしとどに濡れる花蕾に雄蕊を挿す。
「…ああ…おお…き…い…」
和葉が甘く呻く。
しっとりときめ細かな肌を掴み、力強い律動を送り込む。
「…や…っ…また…いっ…ちゃ…う…」
「好きだ…和葉…大好きだ…」
「…ああ…伊織…す…き…」
その麗しい唇を奪い、口内を蹂躙する。

意識を朦朧とさせる和葉を、狂おしく激しく愛し続けた。

…月明かりに照らされた和葉の白い裸体には、伊織の放った欲望の白い樹液が滴り落ちていた…。







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