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悦楽にて成仏して頂きます
第13章  陰陽師


 翌日パソコンで陰陽師について調べたが、どのサイトも在り来たりの内容ばかり。完全に、術を否定するサイトが多かった。
 それもそうだろう。私でさえ、実際に見ていなければ信じられなかった。
「さてと……」
 化粧水が、大分減ってきている。シャンプーやリンスも。
 琴音は食材だけを買ってきたようだから、ここくらいは私の担当。
 響揮には声がかけづらく、私はキッチンの琴音にだけ言って静かに玄関を出た。
 コンビニまでは、マンションから10分くらい。でも早く戻らないと、気付いた響揮が心配するかもしれない。
 速足でコンビニに着き、目的の物をカゴへ入れていく。琴音は少し先のスーパーへ行ったのだろう。持っていた袋に、店名があった。
「楓さん」
 振り返ると、そこにいたのは桜火。
「注入の儀を、済ませたんだね。水の能力を、手に入れたんだ。かなり弱いけど」
 桜火は笑っているが、私は身構えてしまった。
 注入の儀についてまで解るなんて。でもまだ弱い私は、桜火と戦えない。
「大丈夫だよ。こんな所で、術なんて出せないから。最後の警告に来ただけ」
「最後……?」
「僕についた方がいいって、言ったよね? 一緒に響揮を倒そうよ」
 やはり桜火は、自分が亡くなったのに気付いていない。
 彷徨う霊のまま……。
「これ」
 桜火が差し出したメモを受け取った。
「連絡先。響揮に燃やされたでしょう? 今度は黙ってなよ。じゃあね」
 踵を返し、桜火がコンビニから出て行く。会計をして、私は急いでマンションへ戻った。


「響揮っ! 響揮っ!!」
 何故か解らないが、琥珀が私の足元で「ギャアー!」と鳴く。
「響揮さんなら、お部屋ですよ?」
 買った物をリビングに置き、響揮の部屋へ走る。
「どした?」
 ドアを叩くと、響揮が部屋から出てきた。
「どうしよう。コレ、コンビニで……」
 琴音に聞かれないようにと、彼の部屋へ入る。
「落ち着け。コンビニで桜火に会って、メモを渡されたんだな?」
 私は何度も頷く。
 桜火を見た時、怖いと感じた。そしてファミレスで怒っていた時に、彼から赤いオーラが出ていたのは、霊だからだとやっと理解する。
 オーラについても響揮に話すと、「気付くのが遅せえんだよ」と言われてしまった。


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