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悦楽にて成仏して頂きます
第2章 祈祷師
「それが数珠と……。後は、装束と、短刀」
ベッドに置かれたのは、きちんと畳まれて透明な袋に入った装束。クリーニングへ出したのだろう。長めの箱は、多分短刀。
大切な物なのに、扱い方が雑だ。
見かけもそうだが、こういった言動からも彼を疑ってしまう。でも凄い術師なのも、実際に何度かこの目で見ている。
「ねぇ、響揮。いつもどうして解るの? 霊が成仏したり、暴走したりが……」
彼が来るのは、いつも間が良すぎる。セックスでの祈祷が終わり、霊が成仏した直後。暴走した時は、いつも知っている。今までも不思議だったが、初めて訊いてみた。
「バカ。それくらい解んなかったら、一流の祈祷師じゃねえだろ?」
「じゃあ、見えるの? 私と霊が……。してる、ところ……」
「見えるわけじゃねえよ。感じるだけだ」
セックスを見られていたのではなくて、少しホっとする。でも感じるというのは、セックスをしているのが解るのだろう。それも微妙だ。
「ホラ。今回の祈祷料」
響揮が封筒を差し出してきた。
中には、20万円。私にとっては大金。祈祷料には手を付ける気になれず、毎回そのまま貯金している。
セックスをしてお金を貰うなど、本人からじゃなくても、体を売っているようで少し複雑。
「どした? それは、立派な祈祷料だぞ。お前の方法が出来る祈祷師は、少ねえからな。少ねえっつうか、お前だけだし」
「えっ! 私だけ!?」
呆気に取られてしまった。
他に何人もいて、それぞれがセックス除霊をしていると思っていたのに。
「オレだって、街で探してるよ。けど、特殊能力がねえヤツばっか。使えるヤツ、みつからねえんだよなあ……」
響揮は、よく呑み歩いているらしい。それは、彼自身から聞いた事がある。それも、特殊能力者を探す一環なのかもしれない。
「その金は、ヤツの家族から貰った祈祷料だ。紹介料は、引いてあるけどな」
別に、紹介して欲しいと頼んだ覚えは無い。