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悦楽にて成仏して頂きます
第14章 修行
体の痛みに目が覚める。
「え……」
ここは、私の部屋。勿論、響揮のマンションの。
何とか体を起こすと、カーテンの外は暗そう。
社で修行をしていたはずなのに。あれは、全て夢だったのだろうか。
そんなはずはない。この体の痛みは、1日中姿勢を正していたせいだ。
「入るぞ」
ノックの後に声がして、響揮が入ってくる。
「調子はどうだ?」
響揮はそう言っただけなのに、何となく「怒ってっかなあ」と聞こえた気がした。
「修行は、無事に終わったからな。能力も開花したし」
開花と言うのは、響揮や桜火のような術が使えるはず。
「そう言えば……。私、裳を、着てたよね?」
今の自分は、部屋着を着ている。
「裳は片付けといた。シワになると、メンドーだから……」
「響揮が着替えさせたの!?」
「しょうがねえだろ。琴音はまだ寝てたし、琥珀には出来ねえんだから」
開き直られてしまう。
「まさか……」
私は部屋着のズボンを少し広げて、下着を確かめた。
「私、紙オムツだったよね? 下着に換えたの?」
「気持ち悪いかと思ったんだよ。ヘンなトコ、触ってねえから」
その言葉で、また注入の儀を思い出してしまう。
響揮とは、セックスまでしている。下着くらいで怒る立場ではないのかもしれない。それに響揮は、意識を失くした私をここまで運んでくれたのだろう。社から出た記憶が無い。
「まぁ……。色々と、ありがとう……」
響揮はホッとした様子。
「お目覚めになられたのですか? ご苦労様でした。食事が用意してありますよ」
開けっ放しだったドアから、琴音が覗き込む。
「お味噌汁を温めておきますね」
「琴音ちゃん、ありがとう」
琴音が行った後、響揮が腕を組む。
「あの呪文は、覚えたか?」
「えっ?」
「バカっ。臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前ってやつだよ」
すっかり忘れていた。
「イヤな気配がするんだ。明日までに覚えて、社に行けるか?」
「うん。明日なら……」
「今日は、って言っても、もう夜だけど。しっかり休んで、呪文も憶えろ。明日は、戦いになるかもしれねえ……」
言葉が出なかった。
「まずはメシ。立てるか?」
「ん。大丈夫そう」