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悦楽にて成仏して頂きます
第17章 真相
「霊になってから会えば、霊としての記憶に残る。だけど琴音は、霊の桜火と会ってねえからな……」
切なすぎる。
琴音は、心から桜火を想っているのに。
それが、本当の現世との別れ……。
消滅する前から、桜火は桜火でなくなっていた。
私の放った水の炎の中で、全てを悟った彼を思い出す。
響輝に謝り、許してくれるかと訊いていた。
もしもその時琴音がいたら、最期のお別れも出来たのに。
「琴音に、余計な事言うんじゃねえぞ」
「うん……」
「琴音は、桜火に忘れられてるなんて思ってねえ……」
確かに、琴音の中で桜火は生き続けている。そんな彼女に、本当の事など話せない。
「大丈夫。そんなに、馬鹿じゃないよ……」
いつも響輝に「バカ」と言われるが、それは彼の口癖のようなもの。
「じゃあな。オレはこれから、社に行くから。依頼も残ってるし」
「ん。頑張ってね」
そう言い残し、自分の部屋へ戻った。