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悦楽にて成仏して頂きます
第17章 真相
「能力が、開花したお前は、霊と、ヤらなくて済む……。その先、だって……」
響揮は、セックス除霊から私を開放してくれた。今は陰陽師の能力で、霊を成仏させられる。
「まだ先が、あるの?」
「許しを、貰う為だよ……」
口調は変わらないが、響揮の言い方が神妙だった。
ふっと、回されていた腕の力が抜ける。
響揮はまた後ろを向き、部屋に行こうとしていた。
「待って。ちゃんと、聞かせてよっ」
「部屋に、来いよ……」
私は、響揮を追って部屋に入る。
「座れよ……」
彼は背中を向けたまま、窓の外を見ている。私は言われた通りソファーへ座った。
「オレは、社を継ぐ者だ。普通の女との、恋愛も結婚も、許されねえ」
「そんな……」
陰陽師とはいえ、恋愛さえ自由にならないなんて。でも、それが仕来りなら仕方ないのだろう。
「だから、お前を……。陰陽師にして、能力を、開花させた……」
「え?」
「バカっ! 気付けよ! 1年以上も、付き合いが、あるのに。あーっ!! お前が、こんなに鈍感だと、思わなかった……」
響揮の話からすると、私と付き合う為もあって能力を開花させた。そう、いいように捉えてしまう。
静かに彼に近付き、後ろから抱き着いた。
「窓ガラスに、写ってたぞ」
驚かせようと思ったのに、やはり響揮の方が一枚上手だ。
「お前、どうすんだ?」
「響揮と、一緒にいたい。ずっと……」
「今のお前の能力なら、家族も、喜んで受け入れるはずだ……」
つまり、結婚を前提とした付き合い。
「私、能力の高い子を生めるかな……」
「ああ」
甘いシーンなのに、相変わらずのぶっきらぼう。
でも私は、そんな響揮を好きになった。
思えば、半年前から除霊料を持ってくるようになったのは、私を煩わせないようにだと思える。
小さなことかもしれない。でも、それが響揮の優しさ。
思い込みか、「愛してる」と聞こえた気がした。
頭の中に響くような声。
もしかしてと思い、響揮から離れた。
「響揮。私最近、幻聴みたいな、声が聞こえるの……」
溜息をつきながら、彼が振り返る。
「だろうな。能力の高い陰陽師は、相手の心が読める」
「え……」
今までのものは幻聴ではなく、響揮の心を自然と読んでいた……。