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悦楽にて成仏して頂きます
第2章 祈祷師
付きまとわれる霊とは初対面。処女ではなかったが、初めての数日はセックスが怖くてそのままにしておいた。でも響揮に言われた通り思い切ってセックスをしてみたら、その男性はお礼を言って成仏していく。
綺麗な、強く白いオーラをまとって。
その時、嬉しさも感じた。
たまに暴走する霊もいるせいで、高額な祈祷料を頂くのも悪くないかもしれないとは思っている。
それで、霊も家族も救われるなら。私には、それしか出来ないから。でも暴走した霊とはいえ短刀で刺すのは、未だに気持ちのいいものではない。
頂いた祈祷料も、大分貯まってきた。
もう少し広い部屋。せめて2DKに引っ越したいとは思うが、田舎の両親に怪しまれるからやめている。何か、変なバイトでもしているのではないかと。
いつも騒々しい響揮が、突然黙った。
彼はすぐに窓の方を見る。ここは2階。セックスをしていたから、カーテンは閉まったまま。
「次が来てるぞ。この霊の祈祷依頼もきてるから、よろしく頼むな」
「えー。私、レポートを仕上げなくちゃいけないの。今晩中に」
レポートの提出期限は、明日の昼まで。ボーっとしていて今日怒られた教授へのレポートだから、絶対に提出しなければならない。講義への出席より、レポートや試験の点数に煩い教授だから尚更だ。
「確かに、1日2人を相手にするのは、疲れるよなあ」
そういう問題じゃないが、何も言わなかった。言っても無駄だから。
響揮が立ち上がり、窓の方へ向かい手を合わせて何か呪文を唱え始めた。
神妙な顔付きで、普段の彼とは全く違う。
左の掌を窓へ向けると、そこから緑色の光が出る。
それが以前も見た、彼の特殊能力。
こっそり真似をした事はあるが、勿論光など出なかった。呪文も知らないし。