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悦楽にて成仏して頂きます
第3章 霊の望み
「ありがとう。楓……」
光が激しくなり、彼はその中へ消えて行く。
除霊に成功したんだ。そう思いながら、私はまだ気怠いまま手を合わせた。
彼は急病で亡くなったのを知っていたから、誰にも恨みは持っていなかったのだろう。だから亡くなった理由を語っても、暴走はしなかった。
ただ、正常位以外とフェラをしてもらいたい。そんな事と思う人もいるかもしれないが、彼にとっては酷く心残りだったはず。
成仏出来て良かった。何だか暖かい気持ちになり、ベッドに横たわる。
これが、本来のセックス除霊。
遥か昔の日本には、死者同士の結婚もあった。戦争などで未婚のまま亡くなった男女に、親同士のみで式を挙げるというもの。
日本の古い儀式、と言ってもいいのだろう。
せめて自分の息子や娘には、結婚して欲しかった。子供を持った事は無いが、そんな親心も理解出来る。
そういった結婚式を行えば、亡くなった2人はあの世で出会える。きちんとした、夫婦として。
それも、響揮から聞いた。
それとは違うかもしれないが、こうやって死者を救える事には満足している。
疲れた私は彼の冥福を祈りながら、そのまま眠ってしまった。