この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
悦楽にて成仏して頂きます
第4章  響輝


 タクシーに乗って20分ほどで、大きなマンションの横にある鳥居前で降りる。
 周りは立派なマンションばかりで、鳥居のある一角だけが異様とも言える風情(ふぜい)。
 久し振りの社。
 以前は社まで祈祷料を取りに来ていたが、ここ半年は響揮の方から来るようになった。勿論、私は電車で。
 夜中の社までの階段は、少し不気味。
 いくら霊は平気でも、遊園地のお化け屋敷などはそれなりに怖いと思う。お化け屋敷には、本当の霊も紛れ込んでいることもあるし。髪を引っ張られたり、足を掴まれる人がいるのはそのせい。
「ねぇ、響揮。ちょっと待って」
 階段の途中で足を止め、森林の方を見た。
 そこにいたのは、赤いワンピースを着た髪の長い女性。私と変わらない年齢に見える。
「もう浮遊霊になってるけど、悪い念は感じねえ。行こう。どうせ、あいつは、これ以上社には近付けねえから」
 女性はこちらを見ているが、響揮は前を向いて歩き出す。
 悪さをしない霊は、そのまま放って置く。下手に成仏させようとすると、多くが暴走するらしい。既に浮遊霊や地縛霊になった霊なら、暴走は私が知るより恐ろしいとも聞いていた。
 長い階段をやっと上り終えると、社の中へ。
 雰囲気は、以前と変わらない。
 以前ネットで調べたが、貼られた布は護符(ごふ)のようなものらしい。焚火には、やはり使った後が残っている。床は板張りだから、少しひんやりとして気持ち良い。
「奥で着替えてくるから。お前も着替えろ」
「うん」
 響揮は、横の扉から奥へ行く。その間に、私も急いで装束に着替えた。
 その場に正座して待っていると、少しして彼が出てくる。その姿に、目を奪われてしまった。
 まるで、ドラマで観た陰陽師(おんみょうじ)のような姿。
 紫の着物の上に白い衣を着け、腰の部分は編んだ紫の紐で縛られている。袴の裾は平安時代の貴族のように膨らみがあり、足首の所で締まっていた。
 頭には、長く黒い烏帽子(えぼし)。
 いつもは銀のピアスをいくつもしているが、今は両耳に1つずつ大きめな翡翠のもの。
 以前祈祷料を取りに来る時は、電話をしてからだった。この姿を、見せないようにしていたのだろうか。


/139ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ