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悦楽にて成仏して頂きます
第1章 特殊能力
私の所に現れた霊。彼は、セックスに未練があるせい。
正直、助ける義理は無い。知り合いでもないし。でも私の存在を知られたからには、毎日どこにでも付きまとわれる。それだけは勘弁して欲しかった。
それに浮遊霊か地縛霊になってしまうのは、やはり可哀そうだと思う。
明日はバイトだし、今晩中に仕上げなければいけないレポートがある。
可哀そうでも、集中するには邪魔な存在。彼自身の為にも、早めに成仏して欲しかった。
「私は、楓」
「僕は……。覚えて、ません……。去年、大学を卒業したのは、何となく……」
彼はさっき「3ヶ月くらい前事故に遭った」と言ったが、記憶が薄れていくから亡くなったのはもう少し前。大学を卒業したのも、いつの記憶か解らない。
亡くなってから3年以内に成仏させないと、浮遊霊か地縛霊になってしまう。
それを助けるのが私の役目だと、祈祷師に言われた。
「ねぇ、早く脱いで?」
「えっ……?」
私の言葉に、彼が戸惑っている。
祈祷師に会ってから、私の特殊能力は少し変わってしまった。以前は見えるだけだったのに。
セックスに何かしら未練を持った霊が、それを晴らしたいと強く願って私に助け求めて来る。
祈祷師には、その特殊能力をきちんと活用するようにも言われた。
「セックスが、したいんでしょう?」
私は20歳だし、彼も大学を卒業している年齢。霊に倫理観を解いても仕方ないが、お互いに年齢はセーフ。
「私、シャワー浴びてくるから」
それだけ言って、脱衣所へ行く。
相手が霊とは言え、シャワーくらい浴びたい。霊の体は新陳代謝をせず汚れないから、そのままで大丈夫。
髪は長くて乾かすのに時間がかかるから体だけ洗い、バスタオルを巻いて部屋へ戻った。
「まだ脱いでないの?」
彼は、その場に突っ立ったまま。
「大丈夫。私が、ちゃんと教えてあげるから」
「は、はいっ。よろしく、お願いします……」
彼の白装束を優しく脱がせた。下は裸だから早い。