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悦楽にて成仏して頂きます
第5章 目醒め
少し頭が痛い……。
ベッドから起き上がると、見知らぬ部屋だった。
私の物より高級そうな、しっかりとした大きなベッド。部屋も広めで、家具もテレビも大きくて高額そう。絨毯も同じで、毛足が長い。
でも、ラブホには思えなかった。
ノックの音がして、入って来たのは響揮。
「起きたかー。客が来てるぞー」
「ここ、どこ……?」
「バカ。お前が泥酔したから、泊めてやったんだろ。お前んちまで運ぶの、面倒だったし。ちっちゃくたって、ここまで運ぶのも大変だったんだぞ」
改めて部屋を見回す。
「ここ、響揮の、家?」
「ああ」
昨夜のカクテルはオレンジジュースの味しかしなくて、かなり呑んでしまった。話した内容も、途中からは薄っすらとしか覚えていない。
「お前が昨夜呑んでたのは、スクリュードライバーって言うんだよ」
「スクリュー、ドライバー?」
「ウオッカベースだよ。オレンジジュースで割ってるから、解んねえけどな」
ウオッカは、凄くアルコール度数の高いお酒。それくらいは知っている。
「何で言ってくれなかったの!?」
「メニュー見て、お前がこれがいいって言ったんだろ?」
確かにそうでも、その時教えてくれたっていいのに。
「客だから、取り敢えず来いって」
そう言われて、響揮に付いて行く。ここは彼の家なのに、私に客だなんて。
でも、何となく気配を感じる。
一応確かめると、しわくちゃでも服はちゃんと着ている。そういう点では、響揮を信頼していた。送るのが面倒くさい、と言うのが本音だろう。
リビングに入り、私は息を飲んだ。
まるで、テレビドラマで観る高級マンション。
広い部屋に、陽当たりのいい大きな窓。中央にはソファーセットが置かれ、それも高級そうだ。さっきまで寝ていた部屋と、同じような絨毯。テレビや大きな家具も、全て大きくて高級そう。
このリビングだけで、私のマンション全体の倍はありそうだ。何階なのか、見晴らしもいい。
「座れよ。ホラ」
ソファーへ座ると、響揮がペットボトルの水をくれる。
「ありがとう」
「言っとくけど、オレは別の寝室があるからな。あそこはゲストルーム」
有名な祈祷師は、こんなに儲かるなんて。修行すれば、今からでもなれるかと考えてしまった。