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悦楽にて成仏して頂きます
第6章 新生活
「あっ、あぁっ」
アナルで、こんなに気持ち悦いと思ったのは初めて。秘蕾に響くせいもあるが、それとは別の熱が生まれてきた。
「んんっ、はぁっ」
挿入する場所なんて、関係ないのかもしれない。
セックスをしている。それ自体が、快感を呼ぶのだろう。
「あぁっ、はぁんっ」
グラインドが早くなり、彼の息遣いも荒くなっている。
「はあっ、……彦っ、うぅっ……」
奥深い場所で、彼は果てたよう。
私はシーツに落ち、その心地好い気持ちいい冷たさを感じていた。
「一生、一緒だって、約束、したのに……」
彼が、呟くように話し始める。
「俺の、一生は、もう、終わり、なのか……?」
彼は、現世への悔いを思い返していた。このままでは、危ないかもしれない。私が振り返ると、さっきよりもオーラは赤く大きくなっていた。
ドアの外から、尋常ではない琥珀の「ギャアー!」という声が続いている。
琥珀の力に頼りたいと思ったが、彼の腕は両側にあって抜け出せない。無理矢理動けば、彼を余計に刺激してしまいそうだ。
どうして亡くなったのか、私には解らない。
彼の様子を伺いながら、静かに枕の下に手を入れて短刀を掴む。
「何を、する気だ……」
ドキリとした。
彼に、まだ短刀は見えていないのに。現世では、少し特殊能力があったのかもしれない。
「やめろっ、その手を離せ!」
掴みかかられ、私は出した短刀のさやを抜いた。
「霊のままでもいい。あいつの傍にいたいんだ」
亡者の、悲痛な思い。
それは胸が痛くなるほどに解るが、彷徨う霊をそのままにしてはおけない。
「ここはお前の住む世界では、キャぁっ!」
彼に掴みかかられ、翡翠のネックレスが千切(ちぎ)れてベッドへ落ちた。
でも、怯んでいる場合ではない。彼の隙を見て、短刀を太ももに差した。
「ここはお前の住む世界ではない! 退散せよ! えっ……」
彼は何でもないように、私を見つめている。
ネックレスを身に着けていないせいで、霊力が足りないのだろう。
彼はネックレスを拾うと、部屋の隅へ投げた。