この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
悦楽にて成仏して頂きます
第7章  桜火


 響揮は、出来上がったコーヒーを私にも出してくれた。
「あのね。私……」
 俯いてはいたが、前に座った響揮の視線を感じる。
「全部、知りたい。霊が来る、本当の理由とか、桜火の事とか……。注入の、儀、とか……。そうじゃないと、響揮を、信用出来なく、なりそうで……」
「そうだよな……」
 響揮が溜息を漏らす。
 どうして2人が、敵対心を持っているのか。桜火は依頼を受けていないから、客の奪い合いじゃないはず。
「桜火は……。オレの、弟だ」
 驚いて顔を上げた。
 そう言われれば、整った顔の特殊能力者が近くに2人もいるなんて不思議だ。顔付きは違って見えるが、髪型や年齢のせいかもしれない。
「桜火が物心ついた頃には、オレは、修行と勉強で手一杯だった。桜火と遊んだ記憶なんて、殆ど無い」
 祈祷師としての修行がどんなものか解らないが、並大抵ではないはず。
「霊が、私の所へ来るように、響揮が、祈祷してるの?」
「ああ……」
 それを聞いても、憎しみのような感情は全くなかった。響揮の助手は、私だけ。セックスについて未練がある霊なら、私へ任せるしかないのだろう。
「それは、別にいいの……。確かめて、おきたかっただけ……」
 響揮は私を見てから、コーヒーを飲む。
「でも……。どうして、仲良くしないの? 兄弟でしょう?」
「社だ……。社の後継者は、1人だけ。今はオレが親父から継いだけど、桜火も、社を狙ってる。祈祷師としてやってくには、あの社が必要なんだ」
 後継者問題といっても、世間一般的なものとは少し違うだろう。2人とも、かなり強い能力の持ち主。
「さっき、桜火の掌から、赤い光が出たの。何なの? 響揮は、緑でしょう?」
「名前の通り、桜火は火の使い手。オレの能力は、緑色の翡翠」
「じゃあ、桜火って名前も、響輝も、通り名なの?」
 響揮が首を振る。
「桜火は、生まれた時から、炎のオーラをまとってたって聞いてる。それは、強い能力の持ち主って証拠だ。オレも、渡した名刺が本名」
 それだけ言った響揮は、俯いて暫く黙ってしまった。


/139ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ