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悦楽にて成仏して頂きます
第8章 注入の儀
約束の土曜日。
私は午前中から、ゆっくりと湯船に浸かった。響揮は身を清めると言って、朝食後に社へ行ったまま。
1人で昼食を摂り、響揮の分にはラップを掛けておいた。
注入の儀には、そんなに準備が必要なのだろうか。それとも相手は霊でシゴトとはいえ、1年間くらいで複数とセックスをした私が嫌なのかもしれない。
そう考えると、溜息が出る。
琥珀はエサを食べてから、ずっとソファーで眠っていた。片付けもせずにリビングでボーっとしていると、カチリとロックの開く音。
「お帰り……」
玄関へ行くと、真夏なのにモコモコになった上着を羽織った響揮がそれを脱ぐ。下には、社で見る装束。バッグから烏帽子を出すと、その場で頭に着けた。
「準備は、いいか?」
「う、うん……」
「じゃあ。来い……」
響揮に付いて行き、彼の部屋に入る。
ここへ入ったのは初めて。私が使っている部屋の倍以上あり、中央にはソファーセット。壁掛け式の大きなテレビに、家具も高価そうなものばかり。そして壁際には、豪華で大きなベッド。ドアの上には、社でのような神棚もある。
「裸になって、ベッドに寝ろ……」
「うん……」
私は脱いだ服をソファーに置き、全裸でベッドに寝た。
響揮はベッドの横に立つと、呪文を唱え始める。私は真っ直ぐに寝たまま、じっとしていた。
暫くして響揮に掌を向けられると、緑色の光が降り注ぐ。
攻撃術と同じだから一瞬身を硬くしてしまったが、痛みは全く無い。体が動かなくなる事もなかった。
上を見ると、ベッド全体が緑色のドームなような物に包まれている。まるで、壊れないシャボン玉のように透けている。
多分この為に、響揮は装束で戻って来たのだろう。こんな力は初めて見た。
響揮が烏帽子を外し、装束を脱ぎ出す。
ドキリと、胸が鳴った。
霊となら経験はたくさんあるのに、やはり知り合いの響揮とは違う。
全裸になった響揮が、ベッドへ乗って来た。細見だと思っていたが、筋肉はきちんと付いている。
髪を撫でられながら見つめられ、私は恥ずかしくて目を伏せてしまった。