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悦楽にて成仏して頂きます
第9章 琴音
「あんっ、はぁっ」
温もりの無い、霊の体。でも響揮には、確かな温もりがあった。
琴音は、デートだと喜んでいるだろう。
響揮が困っていたのは、セックス除霊の為だけかもしれない。昔から知り合いで許嫁なら、キスくらいはしたのだろうか。
「あぁっ、はぁんっ。もうっ、挿れてぇ」
彼は入口を指で確かめ、性器の先を着けた。
「あぁんっ!」
一気に挿入され、私は背中を反る。
琴音は邪魔でも、決して悪い子ではない。世間知らずのお嬢様。その上天然。男性からすれば、可愛いだろう。
「動い、てっ、動いてぇっ」
響揮と琴音は、2年後には結婚する。ここにいて邪魔なのは、私の方かもしれない。
「あんっ、イイっ、はぁっ」
言った通り動き出した彼に、翻弄されそうになる。でも何故か、2人の事ばかり考えてしまう。
許嫁は、言わば婚約者。それならば、2人がセックスしていたとしても普通。
「あんっ、んっ、あぁっ」
「楓、さんっ、俺、もうっ……」
「んんっ、中で、出して、いいよっ、はんっ」
彼はすぐに射精した。
「くぅっ……。はあっ、はあっ……」
私は置いてきぼり。今は、それも気にならない。
彼の体が、白く光り始める。
「楓さん、ありが、とう。俺、国立大の医学部に入る為に、勉強だけ、してたから……。入ってからも……。興味はあったけど、自慰さえ、時間の無駄だって、自分に言い聞かせてた……」
彼には、それなりの理由があった。
抱き着かれたが、彼の体はもう透明に近い。そのまま、白装束と一緒に消えていった。
シャワーを浴び、部屋着に着替えてリビングのソファーへ座る。前のソファーでは、また琥珀が寝ていた。
「琥珀、琥珀ってば。1日中寝てて、よく飽きないね……」
響揮には、「完了」とだけメールをしておく。
彼が一度社へ行ったたから、2人が出て行ったのは10時過ぎ。もう午後になっていた。
霊とのセックス中から、どうしても2人の関係が気になってしまう。
地元も越した先も同じで、父親同士の仲がいい。そんな所に、運よく歳の合う男女が生まれたものだ。
琴音の裸は知らないが、ベッドにいる2人を思い浮かべてしまう。それは、響揮とセックスをしたせい。