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悦楽にて成仏して頂きます
第10章 水の守護
朝まで眠ってしまったらしい。
持ち帰った短刀を箱から出し、枕の下に入れた。
まだこうしておかないと、霊が暴走した時に危険だ。
来ていたメールは、珍しく響揮からだった。
“今晩帰らない”という文字だけ。昨夜送ったらしい。
社の結界を守るのと、桜火への祈祷の為だろう。それならその間に、待っている霊を何とかしたい。私も、セックスという依頼を熟さなければ。
「おはようございます。響揮さんは、まだお休みなのですか?」
部屋を出てすぐ、キッチンにいた琴音が駆け寄ってくる。
琴音は、可愛い部屋着にエプロン姿。昨日買ってきたのだろう。
「響揮は、祈祷で戻ってないから」
「そうなのですか……」
一目で解る、淋しそうな表情。
「私も昨夜遅かったから、シャワーを浴びてから、もうひと眠りしたいの。起こさないでね?」
「解りました。では、私は部屋を片付けますね。食事は出来たので。後は、調理器具の片付けだけです」
キッチンに戻る琴音を見送ってから、シャワーを浴びた。
バスタオルを巻いた上にバスローブを着て様子を窺うと、琴音の姿はない。そのまま玄関へ行き、急いで霊を部屋へ呼び込んだ。
バスローブを脱ぎながら彼の前に立った時、薄っすらと病院の様子が浮かぶ。病死か事故死。それ以上詳しくは解らなかった。
「私は楓。服を脱いで、来て……」
彼は戸惑いながら白装束を脱ぐと、ベッドに載って来る。
今まで、霊の生前の背景など浮かんだのは初めて。それは、私に本当に力がついてきたせいだろうか……。
「バスタオル、外して」
「はい……」
本当は私服から脱がせてあげた方が、男性は喜ぶだろう。でも、そんなに時間をかけたくない。それに以前、霊が焦ってボタンが取れてしまった時がある。
バスタオルを外すと、彼は乳房をジッと見ていた。そういう事をするのは、童貞に多い。
頭を引き寄せ、キスをする。軽く開いたままだった彼の唇の隙間から、舌を挿れた。
「はぁっ……」
舌と舌を絡める。
キスの経験はありそう。唾液は感じるが、私の口に入った瞬間に消えてしまう。
ゆっくりと唇を離し、甘い溜息をついた。
「触って……」
手が伸ばされ、乳房を包まれる。