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悦楽にて成仏して頂きます
第11章 琥珀の力
1体に腕を引かれた時、「ギャー!!」と、琥珀の鳴き声が部屋に響く。
私には、叫び声のように思えた。
琥珀を見ると、全身が琥珀色に包まれている。
「琥珀っ!」
言った瞬間、琥珀の体から放たれた琥珀色の光が2体の霊を包む。
「え……」
2体はそのまま動かない。
「あっ、ここはお前の住む世界ではないっ! 退散せよっ!」
急いでさやを外し、1体を刺した。その体が、白い光に包まれる。
「ここはお前の住む世界ではない! 退散せよ!」
もう1体も同じ。
2体は眩しく光り、脱ぎ捨てられた白装束とともに薄くなっていく。
「行き先が解ったよ……」
「ありがとう……」
そのまま、2体の姿は消えてしまった。
「琥珀……。凄い……」
琥珀は何でもなかったように、前足を舐めている。
猫が、あんな力を発するなんて。
私は秘蕾と口をティッシュで拭いてから、琥珀の前で四つん這いになった。
「琥珀。ありがとう」
そう言っても、琥珀は無視。ベッドの方へ行こうとしたから、無理矢理抱き上げた。
「シーツ取り換えるまで、ちょっと待ってて」
その時、いきなりドアが開いた。
「楓っ、大丈夫か?」
入って来たのは響揮。
「遅いよー」
言った後、全裸なのに気付いてバスタオルを巻いた。下に降ろした琥珀は、すぐ響揮の足下へ行く。
「琥珀が、助けてくれたの。術を、使って」
「そうか、琥珀。偉いな。早速首輪が役立ったのか」
琥珀を抱き上げる響揮を見ながら、私はベッドシーツを新しい物に換えた。
「霊とヤる時は、いつも琥珀を部屋に入れておけよ」
「うん」
自分より、猫の琥珀の霊能力の方が強いなんて。私は少しショックを受けながらも、シャワーを浴びに行こうとする。
「楓。シャワー浴びたら、バスローブのままリビングに来いよ。下着だけ、着ていいから」
「何で?」
バスローブで響輝といれば、琴音にどう思われるか。
「来たら話すから」
響揮が意味もなく、そんな事を言うわけがない。不思議に思いながらも、私は浴室へ行った。