この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エメラルドの鎮魂歌
第1章 罪と嘘のプレリュード
八雲はあっと言う間に屋敷中のメイドや侍女…挙句の果てには下僕達の心まで捕らえてしまった。

勤めていた神戸のホテルでもその抜きん出て美しい容姿とどこかひんやりとした威厳ある雰囲気に、支配人に気に入られ、上客担当の客室係りや、繁忙期にはレストランのウェイターも任されていたのでマナーや身のこなし、言葉遣いは申し分なく、そして外国人客に接待していたことから語学も堪能だったのだ。

若いメイド達は挙って八雲に熱を上げ、やがて失恋していった。
八雲は決して公私混同をせず、また己れの内面を一切見せなかった。
メイド達の告白にも冷たさと同義語のような丁寧な言葉で断った。

やがて八雲は、その完璧に整いすぎた美貌と同じくらいに冷たい男だという評が使用人達の間に流布し、誰も告白しようとするものはいなくなった。
皆、憧れと恋慕と切なさが綯い交ぜになった視線を彼に送るのみとなったのだ。

一方、階上の人々…ことに薫子は、意外なことに八雲がかなりお気に入りのようであった。
異国人嫌いの薫子であったが、八雲に対しては一目置くようになった。
二十歳という若さであるにもかかわらず、達観したような落ち着きと、混血児という劣等感を微塵も感じさせない…それでいてどこか悠然とした孤高感にさすがの薫子も敬意めいたものを抱かずにはいられなかったのだ。

また、八雲の美しさは、彼ほどの使用人を雇用している自分への優越感をいたく刺激し、薫子のプライドを大いに満たしたからだ。
薫子は屋敷で開かれるお茶会や夜会において、積極的に八雲を目立つ場所で来客を接待させた。

その為、直ぐに八雲は篠宮伯爵家の瑠璃色の瞳を持つ美貌の従者として、上流社会の人々の間にその名を馳せることとなったのである。
/281ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ