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エメラルドの鎮魂歌
第1章 罪と嘘のプレリュード
その夜、屋敷内の見廻りを終えた八雲はいつも通りに瑞葉の子ども部屋を覗いた。
そっと扉を開ける。

室内は暗く、静まり返っていた。
天蓋付きの子ども用ベッドには、瑞葉がすやすやと寝んでいるはずだった。

近づいて、ブランケットを直そうとしたその時だった。
寝台の中から、小さな啜り泣きが聞こえたのだ。
「瑞葉様?」
声をかけると、すっぽり被ったブランケットがびくりと震えた。
「どうされました?ご気分でもお悪いのですか?」

瑞葉はブランケットを被ったままだった。
「瑞葉様、お貌をお見せください」
重ねて尋ねた時、その声は聞こえた。

「…みずはは…みにくいの?」
八雲ははっと息詰まる。
「瑞葉様…何を…」
「みずはの…かみとめはみにくいの?だからおばあさまは、みずはがきらいなの?
だからみずはは、おかあちゃまのところにいっちゃいけないの?…だからみずはは…」
震える小さな声がそこで止まった。
しやくり上げる泣き声が、ブランケットの中から響いた。

「瑞葉様!」
八雲は堪らずにブランケットごと瑞葉を抱きすくめた。
「瑞葉様はお美しいです。誰よりもお美しいです。
このはちみつのようなお髪も、深い湖のような翠のお目も、すべてがお美しいです。
私は、瑞葉様のお髪もお目もすべてが大好きです」
ブランケットの中から、そろりと瑞葉の貌が現れた。
その美しいエメラルドの瞳は涙に覆われ、八雲を映し出していた。
「…ほんとうに…?」
おずおずと、縋るように尋ねる瑞葉が愛おしい。
そっと笑いかける。
「はい。大好きです」

八雲は、瑞葉のくしゃくしゃになってしまった艶やかな金色の髪を優しく撫でる。
暗がりの中でも光を放つ美しい金髪と、高貴なエメラルドの瞳…。
子どもながらに整った天使のように麗しい貌…。
日々美しく育つ瑞葉は、自分に畏敬の念を持たせる。
…こんなにも美しいひとを、見たことがない。
生まれたばかりの瑞葉様を見て、雷に打たれたような衝撃を受けた自分を…。
このひとにどうやって伝えたら良いのだろうか。

八雲は寝台に腰掛け、膝の上に瑞葉を抱き上げた。
窓から差し込む満月の光が、瑞葉の愛くるしくも美しい貌を照らす。
その柔らかな頬をそっと撫でる。
…そして、密やかに話しかける。
まるで、愛の告白のように…。




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