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エメラルドの鎮魂歌
第1章 罪と嘘のプレリュード
「八雲は、瑞葉様が大好きです」
「ほんとうに?」
「はい。誰よりも瑞葉様が大好きです」
…こんな気持ちは初めてだ。
日々、自分の中で大きく熱くなる名付けようもない感情に戸惑うばかりだ。

「…どれくらい、みずはがすき?」
エメラルドの瞳が瞬きもせずに、八雲を見上げる。
「私のすべてを差し上げたいくらいに大好きですよ」
この美しいひとのためならば、命くらい容易いように思えるのだ。
瑞葉が怒ったように首を振る。
「…八雲がいなくなるのはぜったいやだ」
八雲は声を立てて笑う。
「ではどうしたら、瑞葉様に分かっていただけるでしょうか…」
エメラルドの瞳が、甘く瞬いた。
「キスをして…」
「…え…?」
瑞葉は無邪気に微笑んだ。
「お母ちゃまはときどき、きたときにキスしてくれるの。
…でも、お母ちゃまには赤ちゃんがうまれたから、もうあまりきてくれないとおもう…。
だから、八雲がキスして…」
腕の中の瑞葉の体温が温かい。
瑞葉の伽羅の薫りが闇の中、濃く漂う。
己れの鼓動が煩いくらいに伝わる。

…額にキスをすれば良いのだ。
千賀子様もきっとそうされている…。
瑞葉様も、そう思われているはずなのだ…。

…けれど…。

八雲はゆっくりと瑞葉の小さな貌を両手で包み込む。
大きなエメラルドの瞳が闇の中できらりと揺らめく。
…その下のすんなりとした可愛らしい鼻…。
そして、夜目にも鮮やかな紅い小さな唇…。

…抗える術はなかった…。

「…大好きですよ、瑞葉様…」
低く囁き、その愛らしい唇にそっと自分の唇を押し当てた。
柔らかな薔薇の蕾のような唇…甘く温かな吐息…。
切ない痛みを伴った感情が一気に胸に押し寄せる。
…瑞葉様…!

素早く唇を離し、その小さく儚げな身体を抱きしめる。
「…大好きです、瑞葉様。
誰に何を言われてもお気になさることはありません。
八雲がほかの方の分まで瑞葉様を大切にお守りいたします。決して、お側を離れません」
背中に回された瑞葉の小さな手がぎゅっとしがみついてくる。
「やくそくだよ、八雲」
「はい、瑞葉様」

瑞葉が八雲の胸の中で貌を上げる。
「だいすきだよ、八雲。ずっとずっとそばにいて。ずっとずっとはなれないで」
そう言って、美しい翠の瞳を煌めかせて笑った。

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