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エメラルドの鎮魂歌
第9章 エメラルドの鎮魂歌 〜秘密〜
…獣のように浅ましく交接い奪い合った魔の時が過ぎた。

東の空が僅かに白み始めた頃、千賀子は床の上からゆっくりと起き上がった。
小屋の中はストーブが焚かれ暖かく、千賀子の肩には八雲の上着が掛けられていた。

男の牡液と自らの花蜜に塗れていた筈の千賀子の白い下肢は、八雲により綺麗に清められていた。

…男の姿はどこにもなかった…。

千賀子はふらふらと立ち上がり、小屋を出た。
雪は止み、仄かな朝日が辺りに降り積もった白銀の世界を照らしていた。


…まるで淫魔に惑わされ酔わされ…淫らな夢を見ていたかのような一夜だった。


…その二ヶ月後、千賀子は自分の懐妊に気づいたのだった。
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