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エメラルドの鎮魂歌
第9章 エメラルドの鎮魂歌 〜秘密〜
瑞葉の白い貌は蒼ざめ、死人のようであった。
美しいエメラルドの瞳はそのまま砕け散りそうなほどに張り詰め温度を失っていた。
色褪せた形の良い唇が戦慄く。
…けれど、それは言葉にはならない。

「瑞葉様…今の話を…」
八雲の声は今までにないほどに生気を失い…微かに震えてさえいた。

…瑞葉の反応は、八雲が予想していたものではなかった。
彼は、恐ろしい怪物に遭遇したかのようにじりじりと後退りを始めた。
「…瑞葉様、どうか落ち着いて聞いてください…」
懇願するように近づく八雲に、瑞葉は悲鳴を上げた。
…それは相手を全身全霊で拒絶する声であった。

「…こないで…!」
「瑞葉様…」
「近寄らないで…穢らわしい…」
びくりと八雲の身体が震える。
「…こないで…これ以上…近寄ったら…僕は死ぬ…」
…こんな瑞葉は見たことがなかった…。
まるで心の底から厭う相手を見つめる眼であった。
「瑞葉…!私の話を聞いてくれ!」
激情に駆られ、その華奢な腕を掴んだ。
その瞬間、鋭い悲鳴が上がった。
狂ったようにもがき、抗う。
「嫌!離して!触らないで!穢らわしい!あっちに行って!」
叫び声を聞いた千賀子が部屋から出てきた。
「瑞葉さん…?」

「…お母様…本当なの…?
八雲が…僕の…父親なの…?」
千賀子が蒼白な貌を歪め、その場に崩れ落ちた。
「…許して…瑞葉さん…!」

目眩を起こしかけた瑞葉を八雲が抱き留めようとしたが、悲鳴と共に渾身の力で振り払われる。
エメラルドの瞳が、生まれて初めて憎しみを抱いて八雲を睨みつける。
「触らないで!…お前が…お前が父親だなんて…!
よくも…よくも僕を騙して…僕を…僕を抱いた癖に…!何もかも知っていたのに…!」
驚愕した千賀子が、声にならない悲鳴を上げる。

「瑞葉くん…!」
騒ぎを聞きつけ、駆けつけた青山の胸に瑞葉はしがみつく。
「助けて…助けてください…」

「瑞葉様…どうか私の話を…」
縋り付かんばかりに掻き口説く八雲を、悪霊に目撃したかのように怯え、怒り、泣き喚く。
「嫌ッ!…触るな…穢らわしい!穢らわしい!
僕を…僕を…騙して…お前は…悪魔だ!悪魔だ!悪魔だ!」

錯乱状態の瑞葉を青山は庇うように抱きかかえ、冷静に言い放った。
「…話は大方理解したよ。瑞葉くんは私が預かろう。
私が許可を出すまで、君は決して訪ねてこないでくれたまえ」





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