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第1章 罪と嘘のプレリュード

「西洋人の子どもも生まれた時は金髪碧眼でも、成長するに従い髪や目の色が濃い色に変化する場合が多いのです。
このお子様もきっとご成長の暁には大奥様のようにおぐしもお目のお色も黒くなられることでしょう」
野口の取りなす言葉に、ちらりと鋭い視線を投げかけ、薫子はもはや口も聞かずに侍女を伴い寝室を出た。

征一郎がおろおろとそれに従う。
…彼はとうとう、出産を終えた妻に労わりの一言もかけることはなかったのだ。

主治医の野口は征一郎に詳しい説明をするために部屋を辞した。
赤ん坊を抱いたまま戸惑うナースに、八雲が静かに話しかける。
「お坊っちゃまをお預かりいたします。
…どうぞ野口先生のところにいらしてください」
瑠璃色の瞳をした目の覚めるような美しい従者に話しかけられたナースは頬を染め頷くと、赤ん坊を八雲に託した。