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エメラルドの鎮魂歌
第1章 罪と嘘のプレリュード
寝室には寝台に力なく横たわる千賀子と八雲だけが残された。

八雲はまるで妖精のように軽い赤ん坊を大切に腕に抱きながら、じっとその貌を見つめた。

…魂を奪われるような美しい赤ん坊であった。
太陽の光を集めたような金色の髪、ぱっちりと見開いた瞳は高貴なエメラルドを埋め込んだような色をしている…。
肌は白く透き通るようで、生まれたばかりの新生児なのに目鼻立ちが繊細に整い、西洋絵画に描かれる天使のような美しさであった。

思わず釘付けになる八雲を赤ん坊はゆっくりと見上げ、ふんわりと笑った。
八雲の胸に温かな源泉のようなものがじわりと湧き上がる。
そののちに、胸を鷲掴みにされるような甘く切ない感情が侵食し始める。
…こんな気持ちは初めてだった。

「…私の子どもは…そんなに醜いの…?八雲…」
震えるか細い声が寝台から聞こえた。

振り返ると、千賀子が上半身を起こし、その白い頬に涙を伝わらせ八雲を見つめていた。
長い髪をひとつに纏め肩に垂らし、白いネグリジェ姿の千賀子は、頼りなげな少女のように儚げに見えた。

八雲はゆっくりと首を振り答えた。
「いいえ、奥様。世にもお美しいお子様でいらっしゃいます。
私はこのようにお美しいお子様を初めて拝見いたしました」
千賀子の元に歩み寄り、おくるみに包まれた赤ん坊を差し出す。
「…蜂蜜色の髪、エメラルドのような翠の瞳…。こんなにお美しいお子様はお二人といらっしゃいません。
まるで神様が地上に使わせた天使のようです」

千賀子は赤ん坊を受け取ると、そのミルクのように白く清らかな頬をそっと撫でながら静かに涙を流し続けた。
「…本当ね…。とても…とても美しい赤ちゃんだわ…」

そう震える声で答えると、千賀子は赤ん坊を抱きしめたまま、声を放って泣き出した。



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