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卒業祝い
第2章 承
ジュースを飲んで

「はー」

と信司はため息をついた。

しばし沈黙が続く。

「静かだね・・・」

とユキ。

「そうだね。家に誰もいないし、午後のこの時間だから静かだよ」

「信司、服着替えないの?」

両手をベッドに立てるようにして、身体を支える信司は、うん、と言ったまま、ぼうっとした目をしていた。

ユキが、近づいていって顔を覗き込む。

信司の目の焦点が定まり、ユキと目があった。

「信ちゃん、何ぼーっとしてたの?」

「え!あぁ」

ユキの顔をじっと見ていた信司が、腕を引っ張った。

「ちょっと、なに~」

ユキが、信司の身体の中にすっぽり収まる。

ぎゅっと抱きしめて離さない。

信司は、突飛で強引な行動をとることが、ままあった。

これもまたギャップがあって、ユキの心をくすぐった。

外ではクールに振舞うクセに、二人になると可愛くなったり強引になったりする。

信司といると飽きない。

この飽きないというのは、付き合い続けるのに、とっても大切だと感じていた。





彼女の頭に、信司はあごを乗せたまま

「ユキさぁ、なんで高校生になっても塾通ってんの?」

と聞く。

「えーなんでって・・」

「大学に入学したら塾通う必要ないじゃん?もう受験終わったしさ」

「んーそうだねぇ」

彼女は、ビジネス数学検定講座を大学生になってからも塾で受講していた。

頭を離して、ユキの顔をまじまじと見る信司。

「・・・俺と会えるから?」

そして、軽くユキの頬にキス。

「そうなの?ん?」

「そうだよ」

笑顔で答えるユキ。

見詰め合ったまま、少し間をおいて

「俺も通い続けるね」

と信司が言う。

「うん」

ユキを引っ張って、ベッドに引きずり込むとそのまま倒す。

猛烈に彼女の頬にちゅちゅと口づけ始めた。

「ぁん、ちょっとくすぐったいよぅ」

甘えた声のユキの耳を甘噛み。

「ん・・んん」

「ねぇ・・ユキとやっぱりお風呂に入りたい」

そう耳元で囁く。

ユキの腰に当てた手を優しくさする。

「だめだもん・・おうちの人帰ってきちゃう」

「帰ってこないよ。みんな仕事で帰ってこないよ」

「もっ・・だめっ」

腰に回していた手を、服の中に入れようとする。

軽い揉み合いが生まれ、ベッドシーツと二人の服のすれる音が、しゅるっしゅるっと聞こえた。

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