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第16章 天然ひまわり

 焼き肉を焼きながら、俺への気配りも忘れない夏帆さん。
話し掛けてくれる内容も『○○大学受験するの?』『凄いね。理系男子だ〜私、数学や理科系全部苦手で赤点スレスレだったよ』
などと当たり障りなく、俺を持ち上げてくれるような感じで終始笑っていた。

『夏帆さん、親父の何処が良かったの?』

 俺からは少し確信に迫る質問をしてみた。

『あ…聡君はね、優しいの。
一言で言えば、私が悩んでいる暇を与えずに引っ張っていってくれるような?
そんな感じかな』

『ただ単にせっかちなだけじゃないですか?』

『そうか〜。そうかも!!それでも迷う暇がないのは幸せなのかも』

 あなたのようにおっとりマイペース型な方の為に親父が居るのかもしれません。
あらゆる世の中の均等を取る為なのかもしれないです。

『夏帆はちゃんと俺がナビゲーションしないと迷子になっちゃうからさ』



 親父さんよ、あんたいつから詩人みたいな比喩を使うようになった?

 恋はそんなにもあんたを変えてしまうもんなのか?
 
 夏帆さんにはお気の毒だが、あんたに決めた時点で男に関してはかなりの方向音痴なんじゃないの?

 俺の心の朗読は止まらず、時折吹き出してしまいそうになるのを抑えた。
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