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スパイス
第16章 天然ひまわり
「し、心配する方って、夏帆さん…そっちなの?」
和香奈は笑いが止まらないらしく、まだ夏帆さんの事を聞きたがる。
「嫉妬とかしないみたいだし、親父の事を信じて疑わないのかもしれないけどさ、天然とは聞いていたけど只者ではないって事」
「他にはないの?夏帆さんドキュメンタリーは?」
「親父と暮らすようになってからうちの実家の近所に引っ越したんだけどさ、買い物に出たら迷子になったらしく、アイスクリームが溶けるまで彷徨ってたみたい」
「で、どうしたの?」
「結局そのアイスクリーム食べながら携帯ナビで帰ってきた」
「そんな遠くまで買い物してたの?」
「いや、徒歩10分程度のスーパー。曲がる道も2つ程度」
「迷子になりようがないね…」
「酷い方向音痴のマイペース型なんだな」
「みたいだね」
「レジとかでも、お財布の中の小銭はなるべく出すらしく、行列が出来てもお構いなしで財布の小銭をはたく事もあるとか」
「ああ……そういうおばちゃん時々居るね」
「夏帆さんは悪気のないおばちゃんなんだよな」
「へえー聞いてみるもんだね。意外性があるっていうか…」
和香奈よ。殆どの人間は自分を中心に世界を回そうともがいている。
だが、殆ど人間はそれに失敗しているだけだ。
そんな自分を憎まれずに振る舞う方が大変なんだよ。