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ベストパートナー
第2章 麻衣子
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「ここのワンプレートランチ、めちゃうまぁ!」


 麻衣子が満面の笑顔を見せた。
 この子体は小柄なんだけど、声はアルトだから不思議な感じがする。
 あー、顔にご飯粒付けてもう!


「あっ、ありがとう! えへへ」


 麻衣子がご飯粒を取りながら、白身魚のフライを箸で突いている。
 俺は珈琲を飲んでいて、メモ帳にいろいろ書いていた。
 今回俺が彼女に会った理由。
 それは「今の若い女性が考えている価値観」と題を付けた取材だった。


 俺は腐っても小説家、今時の女性を知らないといけない。
 そんな理由でベストパートナーの掲示板に、「二十歳以下限定」募集をかけていた。



 フレンドパートナー掲示板


 発信者  テル

 題名   18歳以上20歳以下 
      若い子の考えを教えて欲しい


 はじめまして、僕はテルと言います。
 僕はこう見えても物書きの端くれで、それで毎日の生活をしているオッサンです。
 今度、若い女性をモデルにした小説を創作することになりました。
 しかしながらオッサンには、今の若い女性がよく分かりません。そのために今回掲示板にて、募集をかけました。
 アナタの考えを教えて欲しいんです。
 興味のある方は、連絡を下さい。


 そんな呼び込みを書いたのは、今日のランチ奢っている二週間前だった。
 正直、応募はなかった。
 あやしい……と思われたのだろうな。今になって、バカなことをしたなと苦笑している。
 フレンド掲示板だったのに……。


 ベストパートナーの掲示板には、二つの種類の掲示板がある。
 

 一つは俺の使った「フレンド掲示板」である。
 これは友達、恋人になりたい、そんなピュアなユーザー達が利用する場所で、疾しい気持ちを持たない。
 

 疾しい気持ちとは……実はもう一つの掲示板に起因する。
 もう一つの掲示板は、「ヒ・ミ・ツ! 掲示板」となっている。
 ここの掲示板は……と、言うことだ。
 省略する。
 

 まあ、俺はあやしまれた。
 それだけだ。


「ホント! バカだね」


 デザートのウサギの耳付きリンゴを囓りながら、麻衣子がヘラヘラしていた。


 ……ん? 何? 応募が空振りしたのに、なんで若い子がいるのか?
 
 
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