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ベストパートナー
第2章 麻衣子
 実は掲示板を俺が削除して間もなく、メールが着信する。


 はじめまして!
 オッサンはバカなの?
 そんな掲示板に、応募なんかあるわけないじゃん! 笑えるうんですけどぉ


 なんて冷やかしのメールがあった。
 俺はカチンときて、無視リストに入れようとした。
 しかし次のメールで……。


 アタシ、教えてあげる。
 でも安くないからね!


 なんて追加返答が着た。
 掲示板からではなく個人プロフィールから……それが何を隠そう麻衣子だった。
 形は違えど応募に乗ってきたのだが、なんだか上手く言ったとはなんだか言い難いんだよなぁ。
 だから失敗だと思っている。
 

「アタシは自分のお店もちたいワケ! アパレル関係で、中古古着屋さん!」


 麻衣子がなんか言っている。
 俺はハイハイみたいな顔をしながら、メモをする。
 これが役立つかどうかはわからない。
 しかしここは、メモっておこう。


「若いのに偉いね! 今の娘さんは、思いのほかビジョンがあるね」


 俺が顔を上げると、そこにはマスターが珈琲を運んできた。
 頼んだ覚えはないのだが……?


「アタシが頼んだの! テルのお金で」


 麻衣子がキャハハと笑う。
 俺は目が丸くなり、そして呆れ、更に怒りがこみ上げる。
 大声を出そうとした。


「テル……ありがとう」


 麻衣子が真面目に笑顔を見せる。
 ふざけたキャハハからは想像つかない、凛とした顔に怒りが削がれた。
 俺は若い子に、上手くいなされている。


「珈琲には砂糖三杯と、ミルクたっぷり!」


 そう言いながら、珈琲に入れている。
 綺麗な黒が何時しか白く濁り、コクのある薫りに甘ったるさが混じった。
 珈琲の旨味を味わえないお子ちゃまめ!
 そんな奴に踊らされてる俺は一体……。


「どうしたの?」


 麻衣子が素っ頓狂な顔を見せる。
 正直、とても可愛い。
 本当に弾けていた。


「若い子……いいですな!」


 マスターがそう言い、その後耳打ちをする。


「ポチャムチ奥さんも、美味しいですがね」


 ……なんだか、勘違いしている。
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