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約束 ~禁断の恋人~
第3章  倒錯


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 その翌日も僕は海を求め、彼は言われるままに僕を抱く。
 一時の快楽が過ぎ去った後、彼の体温を感じながらベッドで抱き合っていた。
 来客を告げるインターフォンの音。
 注文した品が、届いたのだろう。
 移植後、買い物へ出ることは無かった。
 以前は海とマーケットなどへも出かけたが、今は全てオンライン注文し、決済も電子マネー。
 今は出かけるより、彼とこうして愛情を確かめ合っている方がいい。
《桐島。今日、メインコンピューターのチェックをした……》
 インターフォンのモニターに映っていたのは、Dr.小早川の姿。その緊迫した表情に、すぐには言葉が出なかった。
 持ち出した物について、気付かれたのだろう。
 思っていたよりも早かった。
 弁解の余地はないが、取返しもつかない。
 チップを起動させた時に、指紋認証をした。同時に、その日時も記録されるシステムだ。
 それにDr.小早川は、その時僕が一人で所内に残ったのを知っている。
「どうぞ……。上がって来てください……」
 それだけ言って、インターフォンを切った。
 エントランスと玄関のロックを解除してから、脱ぎ捨ててあった服を着る。
「トモ、どうした?」
「何でもない。カイは、ここにいて」
 Dr.小早川は海とも仲が良くて、何度かここへも来ていた。海が案内して、各部屋を見せている。僕の、手術室のようなプライベートルームも。
 リビングへ行くと、入ってきたDr.小早川を見つめた。
「どうして、チップを作動させたんだ?」
 リビングの入り口に立ったままのDr.小早川が、静かに言う。
「備品の数も、リストと合わない。減っている備品は、全部移植に使う物だ。チェックをしたのは俺だから、他のメンバーは、まだ知らない」
 僕の前に来たDr.小早川が、溜息をつく。
「何を、したんだ?」
 何も答えない僕を諦めたのか、Dr.小早川はリビングを進み、止める間も無く海の部屋を開けた。
「海くん……」
 驚いたような、でも状況を予測していたかのような声に、僕はその場に立ったままそっちを見る。



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