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約束 ~禁断の恋人~
第1章  日常


 事故などで死亡した身元不明の遺体に人口知能を移植することに、倫理的な問題を考えなくもない。だがそんなプロジェクトへ参加出来るのは、研究者としては正直嬉しい。
 誰が言い出したのか、“人工知能搭載人体”はDr.の共用語であるドイツ語の“魔法”を意味する“Zauber”の頭文字を取り、“Z”(ツェット)と呼ばれている。
 “Z”は既に三体出来上がっているが、プロジェクトの最終目標は、“Z”に感情を持たせること。
 インプットされた通りに情報処理するだけじゃなく、感情のこもった言動が出来るように学習させている。
 この一週間研究所へ詰めていたのは、移植したばかりの三体目の“Z”の学習をしていたせい。
「シャワー浴びてこいよ。メシ、用意しとくから。今日は外来だろ?」
 海が、大きな手で僕の髪をくしゃくしゃと撫でながら笑う。それに苦笑してから、バスルームへ行った。



 熱めのシャワーを頭から浴びて、やっと目が覚めた感じだ。
 何度か頭を振ってから壁にあるシャンプーの出口へ手を伸ばそうとして、大きな鏡に写る自分の胸を見た。
 数ヶ所に残る、赤黒い跡。昨夜のことを思い出し、顔が火照る。
 海に比べると、貧弱すぎる体。身長は成人男性の平均近くあるが、海よりは20cm近く低い。その上元々細いのに、気を抜くと見た目で分かるほど体重が落ちてしまう。
 昔から食べることに興味が無かった僕は、海のお蔭で倒れずに済んでいるのかもしれない。
 私服の時は、大学生に間違われるもする。色素の薄い肌と茶色がかった柔らかい髪のせいで、ハーフかと訊かれたりもするが、顔の作りは完全に日本人だと思う。
 僕を作るのに使った卵子は、日本人の物だと聞いている。
 あまり鏡を見ないようにしながら手早くシャワー済ませてダイニングへ行くと、料理を並べている海に笑顔で迎えられた。
「オレも寝坊したから、簡単なモンばっかだけど」
 笑っている海を見ながらテーブルに着いたが、海の“簡単なモン”は僕と次元が違う。



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