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約束 ~禁断の恋人~
第5章  変化


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 翌朝、僕が起きるとフィーアはもう朝食の用意をしている。テーブルには、二人分の料理がいくつか乗っていた。
「おはよう。僕の分はいいから。フィーアはちゃんと食べて」
「メシ喰わないと、体に悪いぞ」
 そう言ってから、フィーアは自分でも不思議そうだ。
 僕自体もおかしい。
 “不思議そう”というのは“感情”。
 フィーアを身近に思うあまり、そう見えたのかもしれない。
「Dr.トモ……。おはよう……」
 でも、一瞬出たのは、海の口調。
 父親が来てから、何かがおかしい。
 忘れようとしていたはずの、以前の生活を思い出させる。
「せっかくだから、少し食べてから行くよ。まだ、時間もあるし」
「ああ……」
 海の顔を覘かせるになった、フィーア。
 彼の脳内で、何が起きているのだろう。
 本格的に調べるには、研究所にある施設が必要になる。
 でも今フィーアを連れて行けば、大騒ぎになるだろう。みんな、海が特別室で延命治療を受けていると思っている。
 父親が言ったように、秘密裏に彼を整形してしまえばいいのだろう。どうしてか、それだけは心が拒否してしまう。
 海が、本当にいなくなってしまうようで……。
「ごちそうさま。あ、急がなきゃ。時間だ」
 正式に出勤するわけではなかったが、確かめたいことがあって、研究所にも顔を出さなければいけない。
 身支度を整えてからキッチンのフィーアに外出を告げると、玄関まで着いてくる。
「昼までには戻るから」
「ん……。昼食、用意しとくから」
 朝食前のフィーアの言葉は、僕の幻だったのだろうか。
 海に会いたいと思う願いが、また僕を狂わせるのだろうか……。
 そんな思いを振り切り、僕は笑顔を作った。
「じゃあ、行ってきます」
 そう言うと、フィーアが僕を見つめる。
「フィーア?」
 次の瞬間頭を引き寄せられ、キスをされていた。



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