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約束 ~禁断の恋人~
第6章  異変


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 不眠気味になってしまったが、朝はいつもの時間に起きる。
 疲れ切っていた。
 フィーアの世話はいらなくなったが、今度は「違う……」の攻撃。
 パジャマのまま自室を出ると、キッチンにはフィーアの後ろ姿。
 焦げ臭い。
 そう思い急いでキッチンへ行くと、焦げた鍋から煙が上がっている。
「フィーア! どいてっ!」
 すぐに鍋をシンクへ置き、水道の水をかけた。
 本当なら、スプリンクラーや警報装置が作動してもおかしくない。
 でもこのキッチンでは海が魚を焼いたりしていたから、両方ともオフにしてあった。
「おはよう。Dr.トモ……」
「おはよう……。フィーアは、リビングに座ってて……」
 彼は無言で、リビングのソファーに座る。
 ミスにしては酷すぎる。
 行動において、“Z”は完璧なはず。
 料理について何も知らなければ仕方ないが、フィーアは今まで毎日食事を作っていた。片付けまで完璧で、最後には調理器具の消毒までしていたのに。
 もう、無理かもしれない。
 僕一人で彼を成長させようなんて、無謀だったのだろう。
 「違う……」という意味も分からないまま。
 脳死状態になった海の、眠っただけのような横顔が過る。
 あの日から、僕の人生は変わった。
 悩む間もなく、チップの移植手術。それで海が戻ってきたような気がして、“Z”を海と呼びセックスを教えた。
 目を覚ましてくれたのはDr.小早川。
 僕は研究者として、“禁断の恋人”を造ってしまった。
 今更悔やんでも仕方ないが、海をあのままにはしておけなかったから。
「Dr.トモ……」
 突然立ち上がったフィーアがキッチンへ来た。
「えっ?」
 いきなり抱き上げられ、彼の部屋へ連れて行かれる。
「フィーア? 何? どうしたの?」
 ベッドへ寝かされると、そのままキスをされた。



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