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約束 ~禁断の恋人~
第6章 異変
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
不眠気味になってしまったが、朝はいつもの時間に起きる。
疲れ切っていた。
フィーアの世話はいらなくなったが、今度は「違う……」の攻撃。
パジャマのまま自室を出ると、キッチンにはフィーアの後ろ姿。
焦げ臭い。
そう思い急いでキッチンへ行くと、焦げた鍋から煙が上がっている。
「フィーア! どいてっ!」
すぐに鍋をシンクへ置き、水道の水をかけた。
本当なら、スプリンクラーや警報装置が作動してもおかしくない。
でもこのキッチンでは海が魚を焼いたりしていたから、両方ともオフにしてあった。
「おはよう。Dr.トモ……」
「おはよう……。フィーアは、リビングに座ってて……」
彼は無言で、リビングのソファーに座る。
ミスにしては酷すぎる。
行動において、“Z”は完璧なはず。
料理について何も知らなければ仕方ないが、フィーアは今まで毎日食事を作っていた。片付けまで完璧で、最後には調理器具の消毒までしていたのに。
もう、無理かもしれない。
僕一人で彼を成長させようなんて、無謀だったのだろう。
「違う……」という意味も分からないまま。
脳死状態になった海の、眠っただけのような横顔が過る。
あの日から、僕の人生は変わった。
悩む間もなく、チップの移植手術。それで海が戻ってきたような気がして、“Z”を海と呼びセックスを教えた。
目を覚ましてくれたのはDr.小早川。
僕は研究者として、“禁断の恋人”を造ってしまった。
今更悔やんでも仕方ないが、海をあのままにはしておけなかったから。
「Dr.トモ……」
突然立ち上がったフィーアがキッチンへ来た。
「えっ?」
いきなり抱き上げられ、彼の部屋へ連れて行かれる。
「フィーア? 何? どうしたの?」
ベッドへ寝かされると、そのままキスをされた。