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約束 ~禁断の恋人~
第6章 異変
「シャワー。空いたよ……」
まだ部屋にいたフィーアに声をかけ、僕は自室へ戻る。
濡れた髪のまま、ベッドへ横たわった。
僕が抱かれていたのは、愛していた海でも、セックスを教えたカイでもない。
彼がフィーアになってから、こんなことは一度も無かったのに。
研究材料と割り切った相手に抱かれるなんて、考えもしなかった。
罰……。
勝手に新しい命を生み出した僕へ、与えられた罰。
それでも僕は、抱かれている時に海と呼んでしまった。
彼には、もう海じゃないと、告げたのに。
もう海じゃないと言った時にフィーアは、『カイじゃないなら、オレは何なの?』と訊いていた。
自分が言ったことを、自分で否定してしまったよう。
夢中になってはいたが、何度も海と呼んだのは覚えている。
海と同じセックス。
でもそれは僕がカイに教えたもので、フィーアには、もうセックスはしないと言ったのに……。
僕から誘ったわけじゃない。さっきは、フィーアが自発的に僕を抱いた。
自慰の仕方なら、彼の知識の中にある。溜まった欲求を解消したいのなら、それで済むはずなのに。
最初は、僕がカイを誘っていた。今度は、フィーアに自由にされる番なのだろうか。
抵抗しようとしても、力では彼に敵わない。
海とのセックスを忘れるために敢えてフィーアと呼び始め、研究材料と割り切ろうとした。それが今まで成り立っていたのに。
成人男性として、セックスをしたいという欲求は分かる。それを相手も了承した上で、その行為に至らなければいけない。
フィーアには、それさえも分かっていないだろう。
僕がいつも身近にいて、以前はセックスをしていたから、解消の対象になったのかもしれない。
僕なら、セックスをしてもいい相手だと認識された。
悲劇じゃなく、僕が招いた喜劇だろう。
自業自得。
僕の力だけじゃどうにもならない方向へ、彼は成長してしまった。
倒錯していた僕そのままのフィーア。
溜息をつき、久し振りの疲れからそのまま目を閉じていた。