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約束 ~禁断の恋人~
第7章  想い


 見張っていなくても、どうせ僕は動けない。それに、ここは特別室。特別室は24時間モニターで監視されていて、すぐにDr.が駆け付けられる。
 ガランとした広い部屋は、海がいない時のマンションのよう。
 医療機器の電子音が、余計に響く。
 治療が終わっても、暫くマンションへ戻してもらえないだろう。このまま入院か、父親が一人で住む一軒家に連れて行かれるはず。
 歯車は狂っただけでなく、かみ合わずに外れてしまった。
 全て、僕のせい。
 僕が狂ったせいで、周り全てを狂わせた。
 人間としてもだが、Dr.として、してはいけなかったこと。
 自ら命を絶つ。
 それがどんなものか、Dr.の僕が一番知っていなければいけないのに。
 父親に言われた通り、“Z”は私物じゃない。それも分かっている。
 でもまだ、冷静にはなれない。
 フィーアを取り上げられる……。
 確かに最近の彼は、暴走に近い行動をしていた。
 「違う……」の繰り返し。
 わざと皿を壊す。
 挙句に僕を犯した。
 それなのに、彼は平然と生活を続けいてる。
 僕だけの手に負えなくなり、今後も何をするか予想もつかない。そんなフィーアが研究所に行けば、不良品として廃棄される可能性だってある。
 研究所にいくためにだって、整形をしてから。僕の愛した海が、本当にいなくなってしまう。
 一度は、だだの“Z”とDr.だと割り切ったはずなのに。
 ナースが入って来て、点滴を取り換えている。
「気分はいかがですか?」
 何も答えなかった。
 苦笑気味な表情をして、ナースが病室を出て行く。
 動けたとしても、モニター監視がある以上、何をしても無意味。
 フィーアも同じ状況なのだろうか。
 でも彼は、自殺しようとは思わないはず。
 拘束は無く、普通の治療を受けているだけだろう。寝ているように言えば、素直に従うはずだから。
 疲れた……。
 何もかも、全てに……。
 物心ついた頃から、勉強していた記憶しかない。



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