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約束 ~禁断の恋人~
第7章  想い


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 入院して、一週間。
 モニターがあるからと、三日で拘束は解かれた。もう医療機器も、点滴も外されている。
 院内にいる父親は、毎日顔を出す。
 父親もまた、悩んでいた。育て方が間違っていたのか、兄弟も作れば良かったのかと。
 僕は、そんな風に思っていない。
 幼少期、父親から愛情を受けた記憶はある。反抗期も特に無かった。ただ、勉強が面白かっただけ。
 小学生の頃から自主的にDr.を目指し、その道を確実に進んだ。
 父親に、全く落ち度は無い。
 本当にそう思っているが、それを言っても父親は溜息を漏らすだけだった。
 夕食を終え、ベッドに入る。他に、何もすることがない。
 テレビはあるが一人で観る習慣もなく、父親が買ってきてくれた医療雑誌も読み終えてしまった。
 ここは精神科で、即命取りになる患者がいるわけでもない。
 自殺未遂した者は、救命措置を取られた後精神科へ回される。
 ここが、院内で一番ガードが厳しい。夜には、フロアの出入り口にまで鍵がかけられる。
 でも、深夜はモニターの監視も手薄になる時間帯。患者はそれを知らないが、Dr.の僕だから分かる。
 ナースは各病室の巡回だし、夜勤のDr.は一人だけ。そして、夜中には仮眠を取る。
 忙しい救急部と違い、殆ど急患が出ないせい。
 だからといって、何をしようとも思わない。問題を起こせば、また拘束されるだろう。大人しくしている方が身のためだ。
 眠りかけた時静かにドアが開いたが、ナースの巡回だろうとそのままでいた。
「Dr.……」
 その声に目を開ける。
「Dr.トモ……」
「フィーア。どうして……。早く入って」
 ドアにも、夜は警報装置があるだろう。
 入ってきたのは、確かにフィーアだった。
「桐島って、書いてあったから。ナースから、聞いた。Dr.トモは、桐島だって」
 フィーアと、広いトイレへ入る。
 ここなら、巡回でもモニターでも見つからない。
「トイレ……?」
「桐島さん?」



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