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約束 ~禁断の恋人~
第7章  想い


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 翌日、やっとフロア内の移動を許された。
 ソファーがたくさん置かれたホールでは、数名の患者が寛いでいる。
 一面の壁は無く、ナースステーションの前。
 殺風景な個室よりはいいと思って来たが、興味のある物は置いていなかった。
 あるのは、漫画や小説の雑誌。ボードゲームなど。
 ここは68階。窓からの風景を眺めていると、人が近付いてきて振り返った。
「フィーア……」
「Dr.トモ。オレは、桐島海だって」
「うん。ここでは、ね……」
 一応、それが彼の本名。
「何で? 桐島は、Dr.トモとDr.桐島のこと。オレも、桐島でいいの?」
「ん……。ここでは、そういうことにしておいて?」
 小声で言った。
 ここで説明は出来ない。
 ナースステーションには、いつも人がいる。
 そうじゃなくても、移植手術については話せない。
 近くのソファーに向かい合いで座ると、マンションにいた時を思い出す。
 暫くフィーアの「違う……」から離れたせいで、精神的にも落ち着いていた。
「フィーアは、マンションに帰れたら何をしたい?」
「Dr.トモに、食事を作る。一緒に食べる」
 それが僕達の日常。
 フィーアが食事を作り、僕はレポートを書く。
 一般的に普通とは言えないかもしれないが、僕達はそうやって過ごしていた。
 今更、移植手術のことを悩んでも仕方ない。
 フィーアになってからは、穏やかとも言える日常だったのに。
 何がそれを狂わせたのか、今は考えたくない。
 ここで過ごすのも、退屈だが穏やかだと感じられる。
「Dr.トモ? ずっと、ここで暮らすの?」
「ううん。もう少ししたら、出られると思うよ」
 行き先は分からない。
 一緒かどうかも。
 それも、今は考えたくなかった。
「また、食事作れる?」
「それは、出来るんじゃないかな」
 フィーアには、料理という特技がある。研究所に簡易キッチンを置き、続けさせる方がいいだろう。
 研究所へ行くとしたら。
 僕は……。
 何をすればいいのか、今は分からない。
「朋也」



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