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約束 ~禁断の恋人~
第7章 想い
白衣姿の父親がやって来て、僕の隣に座る。
「体調はどうだ?」
「ん。ゆっくり休めた。もう、帰りたい」
少し笑いながら言った。
「海、くんは?」
フィーアは、僕を見てから父親の方を向く。
「Dr.トモに、食事をつくりたい」
「そうか……」
父親は何か考えている様子。
「お父さん。お願いだから一緒に……」
「今のままでは無理だろう」
マンションに帰りたいというのを、遮られてしまった。
僕はマンションに帰れたとしても、フィーアは研究所だろうか。そのためには、整形が必要になる。
「まだ、その段階じゃないという意味だ。あと少し、ここで休んでから。それから決めよう」
「ありがとう……」
決まってもいないのに、礼を言ってしまった。
無慈悲にはしないという意味。
それだけでも嬉しかったせい。
「私は、明日から仕事で海外へ行く。一週間で戻るから、話はその後だ」
「手術?」
「ああ」
父親の手術を待っている人がいる。それは重症だという意味。
同じDr.として、その邪魔はしたくない。
「大丈夫。ここでゆっくり過ごすから」
「オレは、食事作りたい」
フィーアが言い出し、父親と笑った。
「海くんは、料理が好きなんだな」
「オレが料理する。Dr.トモが食べる……」
「そうだね……」
この先どうなるのか、フィーアには曖昧にしておきたい。決定するまでは。
「二人共、ゆっくり心を休めるんだぞ」
「うん……」
フィーアも頷いている。
父親が戻った後、二人で何となく時間を過ごした。