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約束 ~禁断の恋人~
第7章  想い


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 病院から解放されるまで、六週間。
 やっとマンションへ戻って来られた。
 何度も父親と話し合い説得もした結果、一度フィーアと一緒に。
 その代わり、僕とフィーアの腕には、生存確認チップが埋め込まれた。
 簡単な手術。局部麻酔をして、30分ほど。自殺志願者にはよくやる手術。
 僕とフィーアの場合は、異常があればすぐ父親の携帯と、マンションの管理人に連絡が入る。
「オレの仕事は、Dr.トモの傍にいる。でいい?」
「うん。もう、病院じゃないからね。でも、今晩は研究所に行くよ」
「何で? 整形?」
 以前父親が来た時の話しを、覚えているのだろう。
「違うよ。整形はしない。メンテナンスだよ」
 病院でのフィーアは、普通の人間として扱われていたと父親から聞いた。
 “Z”については極秘事項。研究所以外の人に、漏らすことは出来ない。だから、フィーアのミスについて、調べることは無かった。
 記憶喪失の患者として、扱われていただけ。
「メンテナンスのために、食事は摂らないで。僕もいらないから。水分はいいけど」
「分かった」
 久し振りに、フィーアと一緒にテレビを観た。
 それだけで嬉しい。
 一緒にいられるのが楽しいと、離れたからこそ知ったこと。
 僕の知らない俳優達が出ているドラマだが、彼は真剣に観ている。また、レポートだと思っているのだろう。
 深夜を待って、研究所へ行った。
 コンピューターのスケジュールで確かめると、夜はDr.小早川しかいない。それも、本来は十時まで。他は病院の夜勤や帰宅の予定。
 でもDr.小早川なら、また深夜までドライの研究を続けているだろう。
 Dr.小早川なら、フィーアのことを知っているから構わない。
 入口で僕がスキャンを受け、フィーアと一緒に二階のメインルームへ向かう。移植してから、フィーアが研究所へ来るのは初めて。彼はやたらと周りを見回していた。
「汚い……」
「そうだね。片付けないと」



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