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約束 ~禁断の恋人~
第7章 想い
「桐島、どういう意味だ?」
Dr.小早川に、順を追って説明した。
恥ずかしかったが、全て隠さずに。
「だから、桐島は綺麗なのか……」
Dr.小早川も納得する。
「フィーア? 桐、Dr.トモが、好きか?」
Dr.小早川の質問に、フィーアは視線だけを動かす。
「スキ……?」
「そんな感情までは……」
言ったが、フィーアは何か考えている。
さっきいたドライが無表情に見えたのは、気のせいでも、敬語のせいでも無い。
フィーアは、確かに表情を持ち始めている。
「Dr.トモに愛されたいから、フィーアが嫌なんだろう?」
その言葉を聞いて、フィーアは無言で僕を見た。
「フィーア。ここで、ドライと一緒に暮らすか?」
突然言われ、僕も無言になってしまう。
フィーアが研究所で暮らすには、整形手術が必要になる。メンバーだって、海として知っている“Z”の扱いに困惑するだろう。
僕だって、海の顔をしたフィーアを冷静には扱えない。
「ここは嫌か? Dr.トモと一緒がいいのか?」
引き続きの質問に、フィーアは戸惑っている。
「どうしてだ? セックス出来るからか?」
「Dr.!」
つい声を上げると、フィーアに見つめられた。
「分からない……。でも、Dr.トモと、一緒にいたい……」
理由は分からないが、一緒にいたい。それは、僕が海に対して初めて抱いた感情と同じだ。
あの頃は、恋だなんて思っていなかった。でも海と一緒にいたくて、もっと近付きたくて。それと同じなのだろうか。
「残念。いいサンプルになると思ったのに……」
おどけたように言うDr.小早川に、呆気に取られた。
「桐島。恋人を、研究材料にしたくはないだろう?」
「え……」
口ごもった僕を窺うように、フィーアが口を開く。
「違う。Dr.トモの、恋人はカイで、フィーアは、ただの、研究材料……」
はっきりと落胆した口調で、フィーアが続ける。
「カイじゃ、なくなったから……。オレは、フィーアだから……。だから、トモって呼んじゃダメで……」
いきなり、Dr.小早川が笑い出す。