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約束 ~禁断の恋人~
第7章  想い


「Dr.小早川。ありがとうございます……」
「いいから早く帰れ。仕事の邪魔だ」
 そう言いながらも、Dr.小早川は笑顔だった。
「フィーア。帰ろう……」
「メンテナンスは?」
 立ち上がったフィーアが言う。
「もう、いいんだ。大丈夫だから……」
 彼に笑顔を向ける。
「さようなら。Dr.小早川」
「ああ。頑張れよ、フィーア」
 フィーアを外へ促し、もう一度深く頭を下げてから僕もメインルームを出た。



「フィーア? ごめん。僕が、分かってあげられなくて……」
 タクシーに乗り隣のフィーアに言ったが、彼は無言。
「どうしたの?」
「Dr.小早川が言ってた。後は、マンションでやれって」
 そんな言葉まで、素直に信じてしまうなんて。
 でもそれは、Dr.小早川がフィーアの話を聞いてくれたからかもしれない。
 僕にそんな裁量は無かった。
 年齢や経験の差だけじゃない。
 相手は、海の容姿を持ったフィーア。
 それだけで、僕は妙に構えてしまった。
 海だと思ってもいい。
 カイやフィーアだと思ってもいい。
 名前なんて、ただの後付け。
 その人物であることが、何より大切なんだ。
「ん……。マンションで話そうね……」
 そう言ってから、窓の外を眺めた。



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