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約束 ~禁断の恋人~
第7章  想い


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 帰りのタクシーの中でも、フィーアは何か考えているよう。無言だが、その顔は確かに表情を持っている。
 無表情なドライと比べて、よく分かった。
 それは、ずっと二人切りでいたせい。研究所へも行かない日が続き、ドライとの違いに気付かなかった。
 Dr.小早川が、色々と訊いてくれたお陰かもしれない。
 父親には大丈夫だと言ってマンションへ戻ったが、ずっと二人切りでいたら、僕はまた強行に及ぶかもしれなかった。
 フィーアの、「違う……」と言い続ける言葉の意味が理解出来ずに。
 「違う……」の意味は、一つじゃなかった。
 食品部で作りたかったのは、僕への食事。調理をすれば、僕が食べると思ったから。
 カイだったのに、フィーアと呼ばれるようになったのが嫌だった。
 それはきっと……。


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


 マンションへ戻ると、すぐ彼に腕を掴まれた。
「Dr.トモ。オレの、恋人になって欲しい」
 漆黒の瞳は、真っ直ぐ僕に向いている。
「どうして? どうして、そう思うの?」
 ただの情かもしれない。殆どを二人切りで過ごしたから、フィーアは僕しか知らない。それに、Dr.小早川に促された。
 もっと別の人との交流を持てば、対象は僕じゃなくなる可能性もある。
「Dr.トモと、一緒にいたい。ずっと。傍にいたい。仕事じゃなくても、一緒にいたい」
 海に対して最初に抱いた想いは、僕自身にもはっきりと分からなかった。でも、僕もフィーアを放したくないと思っている。
「Dr.トモを、トモって呼びたい。セックスしたい。抱きしめたい。アナルに入れなくてもいいから……」
「そんなに、はっきり言わなくても……」
 僕は、ベッドでのキスから挿入までをセックスとして教えた。挿入しなくてもいいというのは、触れ合いたいという意味だろう。
 僕は、海に抱かれるのが好きだった。それは、愛情があったから。
 フィーアが僕に愛情を持ち始めているなら、それでいい。



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