この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
約束 ~禁断の恋人~
第7章 想い
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
帰りのタクシーの中でも、フィーアは何か考えているよう。無言だが、その顔は確かに表情を持っている。
無表情なドライと比べて、よく分かった。
それは、ずっと二人切りでいたせい。研究所へも行かない日が続き、ドライとの違いに気付かなかった。
Dr.小早川が、色々と訊いてくれたお陰かもしれない。
父親には大丈夫だと言ってマンションへ戻ったが、ずっと二人切りでいたら、僕はまた強行に及ぶかもしれなかった。
フィーアの、「違う……」と言い続ける言葉の意味が理解出来ずに。
「違う……」の意味は、一つじゃなかった。
食品部で作りたかったのは、僕への食事。調理をすれば、僕が食べると思ったから。
カイだったのに、フィーアと呼ばれるようになったのが嫌だった。
それはきっと……。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
マンションへ戻ると、すぐ彼に腕を掴まれた。
「Dr.トモ。オレの、恋人になって欲しい」
漆黒の瞳は、真っ直ぐ僕に向いている。
「どうして? どうして、そう思うの?」
ただの情かもしれない。殆どを二人切りで過ごしたから、フィーアは僕しか知らない。それに、Dr.小早川に促された。
もっと別の人との交流を持てば、対象は僕じゃなくなる可能性もある。
「Dr.トモと、一緒にいたい。ずっと。傍にいたい。仕事じゃなくても、一緒にいたい」
海に対して最初に抱いた想いは、僕自身にもはっきりと分からなかった。でも、僕もフィーアを放したくないと思っている。
「Dr.トモを、トモって呼びたい。セックスしたい。抱きしめたい。アナルに入れなくてもいいから……」
「そんなに、はっきり言わなくても……」
僕は、ベッドでのキスから挿入までをセックスとして教えた。挿入しなくてもいいというのは、触れ合いたいという意味だろう。
僕は、海に抱かれるのが好きだった。それは、愛情があったから。
フィーアが僕に愛情を持ち始めているなら、それでいい。