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約束 ~禁断の恋人~
第7章  想い


 実際の本名の海として、彼を愛したいと思った。
 いつの間にか、“Z”の彼に惹かれている。
「いいよ。恋人になろう。セックスも、しよう……?」
 フィーアにしがみつくように抱き着いた。彼も背中に腕を回してくれた。
 その温もりが、余計に僕の気持ちを溶かしていく。
「海って呼んでいい?」
「ん。オレも、トモって呼んでいいの?」
「うん……」
 カイの、本当に嬉しそうな表情。
 言葉一つで、何もかも変えられる。僕の頭がまだ固すぎて、上手く対応出来なかっただけ。
 この先も彼を愛し続ければ、本当に海になるだろう。
 今はそう思えた。
 そんな奇跡を信じられる。
 フィーアを僕の部屋へ誘い、ベッドに座った。
「トモ。愛してる……」
 キスを交わす。
「海の、好きなように、してみて……」
「レポート?」
 少し哀しそうな表情を見て、僕は笑顔を見せた。
「ううん。もう、レポートは書かないから」
「ん……」
 海も微笑む。
 僕の海。一度記憶を失ったのに、脳は本当の海になろうとしている。
「トモ……」
 もう一度キスされ、段々と深くなっていく。
 絡めた舌から伝わって来る、確かな熱。
 抱きしめられ、髪を撫でられる。僕が教えていないことをされるのが、嬉しいと感じた。
「はぁっ……」
 シャツのボタンを外され、胸にもキスをされる。
 軽い刺激を感じたのは、跡をつけたせいだろう。海がよくしていた。「オレのモノだっていう印」と言って。
 全裸にした僕をベッドへ寝かせると、海も服を脱いでいく。
 少し僕の全身を眺めた彼が呟いた。
「痩せた? 食べないから……」
 同じような、心配の言葉。
 彼が海になってくれればと願っていたが、彼は彼のままでいい。
 容姿も名前も同じでも、フィーアから海になっても、別の人格で構わないと思った。
 僕を愛してくれるなら。



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